「みんな、(尹錫悦大統領の拘束令状を発行した)○○○判事をCIA(米国中央情報局)に通報してくれ」
ソウル西部地裁刑事9単独のキム・ミンジョン判事が、ソウル西部地裁暴動に加担したO氏(38)への10日の一審判決の言い渡し中に公開した「MZ自由結社隊」のカカオトークのチャットルームでの会話内容だ。MZ自由結社隊は尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領を支持する極右系の若者の集まりで、ソウル西部地裁暴動を主導した団体の一つ。「尹大統領は米国に庇護(ひご)されている」という妄想的な陰謀論が、これらの団体では「公然の常識」だったことが改めてあらわになったわけだ。
O氏が同チャットルームで発したメッセージはこれだけではない。O氏は事件当時、裁判所の庁舎に侵入する前に、グループチャットで他のメンバーに護身用スプレーの所持、防刃ベストなどの保護装備の着用を勧めている。O氏は当日現場で会ったメンバーたちと共に警察官を押しのけ、西部地裁庁舎内のロビーに侵入。犯行後にはチャットルームに「カカオトークではなく他のメッセンジャーはどうか」、「我々にも弁護団がいる」などのメッセージも送っている。「CIA」に触れた突飛な発言も、犯行を隠ぺいするために知恵を絞る過程で飛び出している。O氏はチャットルームに「尹前大統領が弾劾されれば『第2の1・19(西部地裁暴動が発生した日)事態』になりうる」とも述べている。
キム判事は「(O氏のチャットルームへのメッセージは)被告人が暴動を予見したり、心の中で準備したりしていたことを示している」とし、「O氏はメッセージを送って犯行を隠ぺいしようとしたり、令状を発行した判事に恨みを抱いて家族などの個人情報を把握しようとしたりした」と指摘。キム判事は特殊建造物侵入と特殊公務執行妨害などで、O氏に懲役1年6カ月の実刑を言い渡した。
キム判事はこの日、文化放送の所属記者に暴行を加えた(特殊暴行)容疑のY氏(44)とJ氏(36)にも、それぞれ懲役1年と懲役10カ月を言い渡した。また、裁判所庁舎に乱入する過程で警察官に暴行を加えたうえ、割れたタイルでガラス窓を割ろうとしたものの未遂に終わったS氏(64)に対しては、懲役2年6カ月を言い渡した。この日、刑事1単独のパク・チウォン部長判事も、当直室の窓から裁判所内部に侵入したL氏(35)に懲役1年4カ月を言い渡した。