韓国の与党「共に民主党」が推進する内乱特別裁判部設置法案をめぐり、政界内外で攻防が加熱している。民主党のキム・ビョンギ院内代表が2日、「違憲ではないと判断する」とし、特別裁判部の設置の必要性を強調したが、法曹界で「違憲」主張が相次ぎ、党内でも懸念の声があがっている。
キム院内代表はこの日、国会で開かれた定期国会記者懇談会で「内乱特別裁判部が違憲だというが、我々は違憲ではないと判断している」とし、「個人的には内乱特別裁判部が必要だと考えている。理由は(司法府が)不安を抱かせるからだ」と述べた。そして、「チ・グィヨン判事の行動や、その後に(ハン・ドクス前首相など)拘束令状が棄却される一連の問題を見ながら、不安がさらに高まっていることは明らかだ」とし、「そのような延長線上で、特別裁判部が必要かどうかを先に判断し、その後に違憲かを判断するのが順序だと思う」と述べた。民主党が特別裁判部まで検討するようになった背景をまず注目すべきだという意味だ。
ところが、この日も法曹界内外で反対と懸念の声が相次いだ。非営利弁護士団体「善良な法を作る人々」はこの日声明を出し、「憲法第104条3項は、裁判官の任命権限を最高裁長官と最高裁判事会議に与えている」とし、「内乱特別裁判部設置法案は裁判官任命手続きに外部からの介入を可能にし、憲法秩序に真っ向から反するもの」だと主張した。前日、裁判所事務総局も内乱特別裁判部の設置は司法権の独立を侵害し違憲の素地があるとし、反対意見を表明した。
民主党内部でも特別裁判部設置案をめぐり苦心している様子だ。実際に法案審査の局面に入った場合、違憲論議が大きくなり、世論が不利に流れる可能性があるうえ、検察庁廃止などを盛り込んだ政府組織法の処理日程だけでも、かなりの党の労力を投入しなければならないためだ。民主党院内関係者は「特別裁判部設置案に共感する議員は多い」とする一方、「さまざまな懸念があり、党内で議論がもう少し必要ではある状況」だと語った。キム院内代表が同日の懇談会で、「(内乱特別裁判部処理の)期限を決めるのは不適切だと思う」と述べたことも、このような党内状況と無関係ではないとみられる。
党内で水面下の議論が続く中、「司法府の自浄努力」を求める声が相次いでいる。国会法制司法委員会所属のチャン・ギョンテ民主党議員はこの日、ラジオ番組のインタビューで、「(内乱特別裁判部設置法案を検討することは)裁判所に対する強い警告の意味」だとし「裁判所が誠意ある措置を取るかどうかを注視している」と語った。