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ホワイトハウスが李在明大統領の当選に「中国による介入の懸念」を言及したわけは

登録:2025-06-06 06:51 修正:2025-06-06 09:45
米国のキャロライン・レビット報道官が3日、ホワイトハウスで記者会見を行っている= ワシントン/EPA・聯合ニュース

 米ホワイトハウスが李在明(イ・ジェミョン)大統領の当選について、「韓国は自由で公正な選挙を行ったが、中国の介入が懸念される」という反応を示した。米国務省の公式な立場とは異なるうえ、外交的には前例のない異例の内容だ。これには、中国と激しく対立している米国政府が、韓国に中国と距離を置くよう求めるメッセージが込められていると同時に、ドナルド・トランプ大統領周辺人物の「極右的世界観」も反映されているとみられる。

 ホワイトハウス関係者は3日(現地時間)、李在明大統領の当選に対するマスコミの質問に対し、「韓米同盟は鉄のように固い」とする一方、「韓国は自由で公正な選挙を行ったが、米国は中国が全世界の民主主義国家に干渉し、影響力を行使することについて、懸念し反対する」と答えた。

 同盟国である韓国の大統領選挙の結果について論評し、極めて異例にも第3国の中国について言及したのだ。これは、マルコ・ルビオ国務長官が公式声明を通じて「大韓民国の大統領に当選された李在明大統領にお祝い申し上げる。米国と韓国は、韓国の相互防衛条約、共通の価値、深い経済関係に基づいた同盟に対する鉄のように固い約束を共有している。今日の戦略的環境の要求に応え、新たな経済的挑戦に対応するため、同盟を現代化している」と述べたこととは、かなり異なる内容だ。中国の影響力に言及することで、韓国の新政権が中国と「距離」を置くよう求めるメッセージの性格が強いとみられる。

 成均館大学政治外交学科のチャ・テソ教授は、「ホワイトハウスが、韓米同盟は鉄のように固く選挙も公正だったとしながら、中国の介入を懸念すると述べたのは、非常に相容れず悪質な内容だ」とし、ホワイトハウスに対する極右ポピュリズムの影響力、そしてトランプ政権が中国牽制を強化している二つの側面がともに反映されていると分析した。

 トランプ大統領とホワイトハウスに大きな影響力を持つ米国の極右勢力たちは、中国が民主主義国家の選挙に介入していると主張し、韓国など直接言及している。米国の極右政治活動家のローラ・ルーマー氏は3日、ソーシャルメディアのXに「韓国の冥福を祈る。共産主義者たちが韓国を掌握し、今日の大統領選挙で勝利した。本当にひどいことだ」と主張した。ルーマー氏は政府関連の肩書はないが、トランプ大統領との面会を通じて政策と人事に大きな影響を及ぼしているという。最近、ルーマー氏が批判したマイケル・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)とアレックス・ウォン大統領副補佐官(国家安全保障担当)などが解任された。

 また、先週は第1次トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたマイケル・フリン氏が韓国選挙で「ごまかしの証拠」があるとし、「詐欺の結果は中国共産党を利するだけ」だと主張したと、ロイター通信が報じた。

 また別のトランプの側近の極右系人物であるスティーブ・バノン氏も自分のチャンネル「ウォールーム」で、中国の選挙介入について主張した。このような人々は、韓国と米国の極右勢力のつながりを通じて、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領と支持者が提起した「中国選挙介入陰謀論」の影響も受けたものとみられる。

 この延長線で米国の極右勢力が李在明大統領の「バランス外交」と過去の台湾関連の「謝謝(シェシェ)」発言などを問題視する可能性がある。したがって、このような内容がトランプ大統領とホワイトハウスの外交安全保障担当者に大きな影響を及ぼさないよう、韓国の新政権はきめ細やかで積極的な外交努力が必要とみられる。

 トランプ政権が中国牽制に集中し、韓米同盟を含めインド太平洋地域全体で同盟構造の再編に乗り出した中、李在明大統領と新政権の対応が難しい課題となっている。ホワイトハウスの今回の言及には、「韓国の新政権が中国の影響力に傾いてはならない」という牽制球のメッセージが込められているものとみられる。

 専門家の間では、米国防総省が在韓米軍の「戦略的柔軟性」を強化し、ストライカー旅団のような機動部隊は米国が自由に動かせるようにするとともに、北朝鮮を牽制するトリップワイヤーの役割を果たしてきた陸軍はグアムなどに移動させ、中国を牽制する海空軍を中心に烏山(オサン)、平澤(ピョンテク)などの基地に駐留させる方向に再編するとみられている。

 最近、ピート・ヘグセス米国防長官は、アジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席し、「アジアの同盟国が国防力を強化し、米国とともに中国牽制戦線に乗り出すべきだ」と強く呼びかけた。特に、アジアの同盟国が安保は米国、経済は中国に頼ってきたことを批判し、中国の影響力から抜け出すべきだと圧力を加えた。

 チャ・テソ教授は「トランプ政権はインド太平洋地域の軍事態勢を大々的に改編し、在韓米軍を中国牽制用に転換しようとしており、台湾有事の際の韓国軍の役割に対しても強く求めている」とし、「米国は中国牽制に集中するから、韓国は米軍駐留に対する防衛費と自国の国防費も上げて自強して米国を助けろ、と圧力を加えるだろう」と語った。さらに「それについて韓国の新政権がどれほど備えていて対処するかが重要な課題」だと話した。

 近日中に予定されている李在明大統領との初電話会談で、トランプ大統領が「当選お祝い」と共にこのような課題をどれくらい強く提起するか、李大統領がこれにどのように応酬するかが注目される。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/election/1201069.html韓国語原文入力:2025-06-04 17:51
訳H.J

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