本文に移動

李在明政権、「統合・実用」動力とした危機克服を強調

登録:2025-06-05 08:52 修正:2025-06-05 09:26
就任演説で語られた国政運営の方向性
李在明大統領が4日、ソウル汝矣島の国会で行われた第21代大統領就任宣誓式で、就任の宣誓をおこなっている=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 李在明(イ・ジェミョン)大統領が就任初日の4日に国会本庁の中央ホールで語った「国民に申し上げる言葉」で強調したのは、「統合と回復」だ。李大統領は「李在明政権は正義に満ちた統合政権、柔軟な実用政権となる」と強調しつつ、「すべての国民をまとめ、仕える『みんなの大統領』になる」と述べた。内乱の清算と断罪も約束した。

■統合と内乱の清算

 12・3内乱を受けて行われることになった早期大統領選挙で勝利した李大統領は、この日午前、国会での演説で「偉大な『光の革命』は内乱終息にとどまらず、輝く新たな国にするよう命じている。新たな希望の国のための国民の命令を厳しく受け止める」と述べた。

 大統領候補として提示した10大公約を圧縮したようなこの日の演説で、李大統領は「統合は有能の指標であり、分裂は無能の結果」だとし、「国民統合を動力として危機を克服する。民生、経済、安保、平和、民主主義など、内乱で崩壊し失われたものを回復させ、持続的に成長発展する社会を作る」との考えを明らかにした。そして「国民の暮らしを変える実力も意志もない政治勢力だけが、権力維持のために国民を分裂させ、嫌悪を植え付ける」として「分裂の政治を終わらせた大統領」になると述べた。

 そのために李大統領は「国民から預かった銃刀で国民主権を奪う内乱は、もう二度と再発してはならない。徹底した真相究明で適切な責任を問うとともに、再発防止策を確立する」と約束した。続けて「違法な戒厳で失墜した軍の名誉と国民の信頼を回復するとともに、二度と軍が政治に動員されないようにする」として、軍を改革する意志を明らかにした。

 それとともに「いつでもどこでも国民とコミュニケーションを取りつつ、国民の主権意志が日常的に国政に反映される真の民主共和国」を作るとして、国民とのコミュニケーションの強化を約束した。「光の広場に寄せられた社会大改革の諸課題を揺るぎなく推進する」とも語った。

■経済も外交・安保も「実用」

 「共に民主党」の代表時代から実用主義を強調してきた李大統領はこの日の演説で、「これからは進歩・保守の問題はない。ひとえに国民の問題、大韓民国の問題がある」として、「李在明政権は実用的市場主義政権となるだろう」と述べた。そして「古い理念はもう歴史の博物館に送ろう。朴正熙(パク・チョンヒ)の政策も、金大中(キム・デジュン)の政策も必要で有用なら、区別なく使う」と繰り返しつつ、「統制し管理する政権ではなく、支援し励ます政権になる」と語った。それに向けて「規制はネガティブ中心に変更したうえで、企業家が自由に起業し成長し、世界市場で競争できるよう強く後押しする」と約束した。

 分配と成長を併せた「バランス成長」も強調した。「不均衡な成長戦略が限界をあらわにし、不平等による両極化が成長を遮った」として、「持続的な成長のためには成長・発展戦略を大転換してバランス発展、公正成長戦略、公正社会へと向かわなければならない」と述べた。

 「気候危機」と「エネルギー転換」の問題も欠かさなかった。李大統領は「気候危機への対応という世界的流れに沿って、再生可能エネルギー中心社会へと早急に転換する」として、「緻密なエネルギー高速道路の建設によって全国どこでも再生可能エネルギーを生産できるようにして、消滅の危機にある地方を再生する」と述べた。

 外交・安保政策においても李大統領は、「国益中心の実用外交を通じて、グローバル経済・安保環境の大転換の危機を国益の最大化の機会とする」として「実用」を掲げた。また「堅固な韓米同盟を土台として韓米日協力を固めるとともに、周辺国との関係も国益と実用の観点からアプローチする。外交の地平を広げるとともに国際的地位を高め、大韓民国の経済領土を拡張していく」と補足した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が重視した韓米日協力は続けつつも、中国やロシアなどとの関係にも気をつかう「実用的な外交」を展開するとの考えと読み取れる。

 さらに、「いくら高価な平和でも、戦争よりはましだ」として「北朝鮮の核と軍事挑発には備えるものの、対話と協力を通じて朝鮮半島の平和を構築する」と述べた。前政権で完全に断絶した北朝鮮との関係の改善にも取り組むということだ。また「北朝鮮のGDPの2倍に達する国防費と世界5位の軍事力、韓米軍事同盟にもとづく強力な抑止力で北朝鮮の核と軍事挑発には備えるものの、北朝鮮との意思疎通の窓口を開き、対話協力を通じて朝鮮半島の平和を構築する」と強調した。

李在明大統領が4日、ソウル汝矣島の国会で行われた第21代大統領就任宣誓式で拍手を浴びている=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

■初演説で「司法改革」には触れず

 李大統領は「安全と平和は国民の幸福の大前提だ。安全は糧であり、平和は経済」だとして、「安全で平和な国を作る」とも約束した。そして「セウォル号、梨泰院(イテウォン)惨事、五松(オソン)地下車道惨事などの社会的惨事の真相を明確に究明するとともに、国民の命と財産が脅かされない安全社会を建設する」と語った。

 この日の演説では、大統領選挙で掲げた10大公約の2つ目の検察・司法改革については一切語られなかった。就任初日から「政治報復」に打って出ているという印象を与えるのを避けるとともに、この問題への対応は民主党に任せるということだと解釈される。公約で李大統領は、捜査と起訴の分離および起訴権乱用に対する司法統制の強化▽検事懲戒罷免制度の導入▽オンライン裁判制度の導入、最高裁判事の定員拡大などの、迅速な裁判を受ける権利の実質的保障▽国民参加裁判の拡大などの国民の司法参加の拡大、などを約束している。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/1201182.html韓国語原文入力:2025-06-04 20:05
訳D.K

関連記事