本文に移動

「尹大統釈放」めぐり抗告を断念した韓国検察…与党でも「つじつまの合わない特恵」

登録:2025-03-14 06:43 修正:2025-03-14 07:57
チョン・デヨプ裁判所事務総長の「即時抗告が必要」発言に  
与党の院内代表「最大野党の肩を持つ政治的発言」と非難 
党内でも「上級審で論議を終わらせる必要ある」との声も
国民の力のクォン・ソンドン院内代表が13日、国会で開かれた非常対策委員会議で発言している=ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の与党「国民の力」のクォン・ソンドン院内代表は、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束取り消し決定に対する検察の即時抗告が必要だ」というチョン・デヨプ裁判所事務総長(最高裁判事)の発言に対し、「民主党の肩を持つ政治的発言」だと非難した。ところが、尹大統領が釈放された後、拘束期間の算定方式をめぐり波紋が広がっていることを受け、党内でも「即時抗告を通じて上級審の判断を仰ぐ必要がある」という声があがっている。

 クォン院内代表はこの日、国会で開かれた非常対策委員会の会議で、チョン総長が前日「尹大統領の拘束取り消し決定に対し、上級審の判断を仰ぐ必要がある」と発言したことに触れ、「裁判所の行政業務を管掌する事務総長として、司法府の独立性と安定性を傷つける非常に軽率な発言」だとし、このように述べた。

 さらに「裁判所事務総長には、一度なされた決定を覆すよう介入することで司法体系を揺るがす権限はない」とし、「最高裁判事が中央地裁合議部の判決を否定し覆すように影響を及ぼすことは、司法府自ら裁判の独立性の原則を損ね、三審制度の根幹を揺るがすこと」だと非難した。

 クォン院内代表はまた「即時抗告の断念は不要な混乱を最小限に止めるための検察の自律的かつ独立的な判断」だとし、「チョン・デヨプ総長の発言は検察の自律性をも侵害したもの」だと主張した。それと共に「(チョン総長が)国会に出席し、イ・ジェミョン(共に民主党代表)勢力のための政治をしているとしか思えない」とし、「検察は絶対、裁判所事務総長の個人的な意見、越権に動揺してはならない」と述べた。

 しかし、与党内でも検察が即時抗告で論議を終わらせる必要があるという声があがっている。同党所属のユ・スンミン元議員は同日、「韓国放送」(KBS)のラジオ番組のインタビューで、「(チョン総長の発言は)高位公職者犯罪捜査処の捜査権をめぐる軋轢と対立を裁判所がある程度整理するという意志を示したものとみられる」とし、「(ところが)検察が即時抗告を放棄したため、上級審の判断を仰ぐ機会がなくなった」と述べた。 さらに、「検察が即時抗告をしても、(尹大統領は)釈放状態にあるので、直ちに再拘束されるわけではない」とし、「それ(上級審の判断で論議に決着をつけること)も方法になり得る」と語った。

 同党のキム・サンウク議員はこの日、「SBS」のラジオ番組に主演し、「最高検察庁が即時抗告か普通抗告をして、法的に決着をつける必要がある」と述べた。そして、「(検察が拘束時間を)これまでずっと日単位で計算してきたのに、時間単位で計算すると言っておきながら、翌日には日単位で計算するという方針を示した。(こうなると)つじつまが全く合わず、(尹大統領に)特恵を与えたことになる」と述べた。さらに「(上級審の判断を通じてこのような議論の)決着を付けなければならない」とし、「それが法的安定性であり、法治主義」だと強調した。

チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1186853.html韓国語原文入力:2025-03-13 21:14
訳H.J

関連記事