韓国与党「国民の力」のハン・ドンフン代表とハン・ドクス首相が8日に明らかにした事実上の「国政共同運営」構想は、法的根拠がないという問題以外にも、いつでも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が状況を覆しうるという限界がある。
ハン代表はこの日の談話で、「尹大統領は任期を含めて政局の安定策を党に一任すると約束した」として、「退陣前であっても大統領は外交を含む国政にかかわらないだろう」と述べた。しかし、尹大統領の言うことはすでに何度も変わっている。大統領当選後、就任前に「党の事務と政治には関与できない」として与党と政府の分離を強調していた尹大統領は、複数回にわたって党務に介入した疑惑が持たれている。尹大統領と対立した与党のイ・ジュンソク前代表の2022年10月の代表職喪失、昨年の3・8党大会でのナ・ギョンウォン議員の不出馬、今年1月の大統領室によるハン・ドンフン非常対策委員長(当時)の辞任要求などが代表的な例だ。大統領候補時代の2021年12月には、「特検を拒否するのは罪を犯したから」だと述べていたが、その後は「キム・ゴンヒ特検法」と「(海兵隊員)C上等兵特検法」に対してそれぞれ3回も拒否権を行使している。
尹大統領をめぐる捜査の状況なども変数だ。検察はこの日、尹大統領を内乱などの容疑者として立件し、捜査中であることを明かした。憲法裁判所は、12・3非常戒厳に対する違憲訴訟を受理し、審理に入った。仁川大学政治外交学科のイ・ジュンハン教授は、「捜査の状況、憲法裁の審理結果などの様々な変数によって、尹大統領の言うことが変わる可能性がある」として、「付け焼き刃のように今は矢が降り注いでいるから避けているが、第一線からの後退を文書化したわけでもないではないか」と述べた。