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韓国陸軍、死に至る50分間の体罰…倒れた訓練兵に中隊長が「立て、お前のせいで…」

登録:2024-06-13 06:15 修正:2024-06-13 08:33
訓練兵の死因は敗血性ショックによる多発性臓器不全
2024年5月30日午前、全羅南道羅州市のある葬儀場で、体罰を受けて倒れ2日後に死亡した訓練兵の告別式が行われている/聯合ニュース

 韓国陸軍の訓練兵が規定に反した軍紀訓練(体罰)を受けて死亡した事件と関連し、加害者である中隊長が軍紀訓練中に倒れた訓練兵に「立て」とせきたてた情況が公開された。軍人権センターがこの日公開した訓練兵の死亡診断書などの診療記録によると、死因は敗血性ショックによる多発性臓器不全だった。

 軍人権センターの12日の説明によると、先月死亡した訓練兵のAさんは先月23日、完全軍装で競走、腕立て伏せ、駆け足などの違法な軍紀訓練を50分ほど受けていたところ倒れた。

■「人が倒れたら大丈夫かと聞くのが常識ではないか」

 これを見た医務兵が駆けつけてAさんの脈拍を確認したが、軍紀訓練を命じた中隊長は「立て、お前のせいで他の人たち(軍紀訓練を受けていた他の訓練兵たち)が行けないじゃないか」という趣旨で語ったという。

 軍人権センターは、軍事警察が遺族にこのような情況を説明したと明らかにした。軍紀訓練の現場には中隊長と副中隊長の助手3人がいた。軍人権センターのイム・テフン所長は「人が倒れたら大丈夫かと聞くのが常識ではないか」とし、「訓練兵が倒れて(それ以上)過酷行為ができないという話だが、非常に問題の多い発言だと思う。このような認識が訓練兵を死に追いやったのではないか」と語った。

 この日、軍人権センターは、江陵峨山病院が出したAさんの死亡診断書など診療記録も公開した。死亡診断書によると、Aさんは多発性臓器不全を伴う敗血性ショックで死亡し、その原因は熱中症だった。高熱と血圧低下に苦しむ中、臓器が壊れるほどの状況に至ったのだ。

■最初に診療した医務室の記録すらない

 遺族がAさんの診療記録を確保する過程で、最初に診療した新兵教育隊医務室の診療記録が存在しないことも新たに明らかになった。新兵教育隊医務室の診療記録は、Aさんに対する初期措置が適切に行われたのか、医療機関の搬送決定が迅速に行われたのかを把握するのに必要な資料だ。現行法(軍保健医療に関する法律)によって作成が義務付けられているが、このような規定に違反したのだ。

 軍人権センターは「陸軍が発表したように、軍医が救急救命士と点滴、体温調節のための応急措置を進めており、救急医療総合状況センターと連携して患者の状態、移送手段などを考慮して緊急搬送したことも事実であるならば、電算上の記録が存在しなければならない」とし、「にもかかわらず、記録がないということは明らかに関係法令に違反した行為だ。この点についても捜査を通じて綿密に把握する必要がある」と述べた。

 軍人権センターは同日、Aさんを医療機関に搬送する救急車に、加害者である中隊長が先任搭乗者として同乗したことについても問題を提起した。加害者である中隊長が患者の引率を引き受け、状況を縮小して伝えた可能性があるとみたのだ。軍人権センターは「状況を縮小して報告することが懸念される人を患者の保護者となる先任搭乗者として送ったことは、それ自体で大きな問題」だと指摘した。

シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1144532.html韓国語原文入力:2024-06-12 00:06
訳H.J

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