本文に移動

検察と大統領室、2度目の「キム・ゴンヒ衝突」の可能性…検察総長「捜査は捜査」

登録:2024-05-15 00:10 修正:2024-05-15 08:29
イ・ウォンソク検察総長、任期内に「株価操作」捜査にけりをつける考え 
与党「任期は保障されるが、負担は甘受しなければ」
イ・ウォンソク検察総長が14日午前、ソウル瑞草区の最高検察庁に出勤した際に、前日に法務部が断行した人事について立場を表明している/聯合ニュース

 事実上「検察総長不信任」に準ずる検事長級人事が突如断行された日の翌日、イ・ウォンソク検察総長は、「人事は人事、捜査は捜査」だと述べ、キム・ゴンヒ女史に関する捜査は支障なく進めるとの考えを明確にした。「検察総長として、私に与えられた使命と責務を全うする」として、辞任の考えがないことも明確にしたため、キム女史の調査をめぐって大統領室と検察との2度目の衝突が起きることも予想される。

 13日の検事長級人事は、イ総長がキム女史のブランドバッグ受け取り疑惑について「専門チームを作って捜査せよ」と事実上公に指示してから11日後に行われた。しかし、大統領室と総長との対立は、キム女史のドイツモーターズ株価操作疑惑に関する捜査からはじまった、との見方が定説だ。

 イ総長は、自身の任期内にドイツモーターズの捜査にけりをつけるという確固たる意志を持っているという。最高検察庁の事情に詳しいある人物は14日、「総長は責任を持って(キム女史に関する)事件を任期内に解決するとの立場だ。ドイツモーターズ株価操作事件も含まれている」とし、「ドイツモーターズ事件の場合、総長から捜査指揮権が剥奪されているといわれるが、『未解決事件を集中処理せよ』などの一般的な指揮権を用いればいくらでも迅速捜査を指揮できる」と話した。

 キム女史の調査をめぐる検察と大統領室との確執は、4月の国会議員選挙以前からのものだ。昨年末から今年初めにかけてイ・ウォンソク総長、ソウル中央地検のソン・ギョンホ地検長らが「キム女史の調査」を強く要請。これに対して尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は大規模な粛清人事を準備したが、選挙を意識して保留したと言われている。元検察幹部のある法曹関係者は「(今回の人事は)総選挙前に用意していた粛清案をそのまま実行した人事」だと評した。

 前日に尹大統領は露骨な「親尹錫悦系」を配置した人事を断行したものの、イ総長がいる間は大統領室の意のままに「親尹」系の人物が動くのは難しいとも評されている。この日のイ総長による「どの検事長がやって来ても捜査チームと心を一つにして、他を一切考慮することなく、ひたすら証拠と法理にもとづいてのみ原則どおり捜査する」との発言について、総長と近いある人物は「イ・チャンス地検長はなすべき捜査をやらない人物ではないとみて、信頼を示したもの」だと語った。

 しかし、大統領室にはただならぬ空気が漂う。与党の関係者は、「総長が辞めないと言えば、大統領室は出て行けと言うことはできないから、任期は保障されるだろう。ただし本人は負担を甘んじて受け入れなければならないだろう」と話した。

 ブランドバッグ受け取り疑惑を捜査中のソウル中央地検刑事1部(キム・スンホ部長)は当初、今月中に捜査にけりをつけることを目標としていた。ドイツモーターズ株価操作事件を捜査する反腐敗捜査2部(チェ・ジェフン部長)も、7~8月の共犯者の控訴審判決の前後にキム女史の調査を決めなければならない状況にある。今年の夏ごろには検察がキム女史を取り調べることは不可避であり、取り調べの方式などをめぐって大統領室と検察が再び衝突する可能性が残っている。

 高等検察庁の検事(次長、部長検事)級の中間幹部人事の結果も、対立が噴出するかどうかの分岐点となりうる。法務部は、早ければ来週にも中間幹部級検事人事を発表するとみられるが、ソウル中央地検刑事1部長と反腐敗捜査2部長が交代するか否かと、空席になった第1~4次長の後任人事などが焦点になるとみられる。

チョン・ヘミン、チョン・ファンボン、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1140547.html韓国語原文入力:2024-05-14 17:21
訳D.K

関連記事