本文に移動

「尹政権2年、『検事の、検察による、検察のための』国政運営」

登録:2024-05-09 06:53 修正:2024-05-09 09:45
参与連帯、尹政権の2年間の検察を分析した報告書発表 
「尹大統領就任初年、家宅捜索令状請求が前政権より12万件増」
参与連帯司法監視センターが8日、「尹錫悦政権2年検察+ 報告書2024:検事の国、民主主義を家宅捜索する」発行記者会見をおこなった=参与連帯提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の2年間に、家宅捜索令状の請求件数が前政権に比べて大幅に増え、市民団体や労働組合などに対する強制捜査も頻繁になるなど、検察による捜査中心の国政運営が強まったとする分析結果が発表された。政界に対する家宅捜索の件数も大きく増えたが、その95%が共に民主党に集中していた。政治的な競争相手との妥協や意思疎通ではなく、「捜査」が国政運営の中心に据えられたことで、民主主義が後退していると評価される。

 市民団体「参与連帯」の司法監視センターは8日、「尹錫悦政権2年検察+ 報告書2024:検事の国、民主主義を家宅捜索する」と題する報告書の発表に際し、「検事の、検察による、検察のための国政運営で、国政全般が検察司法によって統制され、再調整された」と評価した。報告書には、尹錫悦政権2年間の検察の主要捜査の現状とともに、検察の人事や派遣の状況などが記されている。

 報告書によると、捜査機関による昨年の家宅捜索令状の請求件数は45万7160件で、前政権時代の2021年(34万7623件)から12万件ほど増えた。尹錫悦政権が発足した2022年5月10日から昨年11月10日までに、前政権、野党、労働組合、市民団体、報道機関などの、政府と異なる立場に立つ対象に対する主要な22件の捜査で、124件の家宅捜索が実施されていた。参与連帯は、「政治的な競争者と反対者を捜査対象、被疑者、犯罪者と規定したり、せん滅、撲滅すべき存在として対象化したりすることにより、民主主義規範が無視され、民主政治の活動空間が矮小化された」と評価した。

 現政権発足後に肥大化した検察の影響力は、各省庁に派遣された検事の数からも間接的に確認できる。今年2月の時点で検察は、37の機関に50人の検事を派遣している。前政権末期の2022年3月に比べると機関数は3つ増、派遣されている検事の数は4人増となっている。雇用労働部や教育部など、以前は検事の派遣が皆無、もしくは珍しかった社会政策省庁にも派遣されている。参与連帯は、保健福祉部に今年1人の検事が新たに派遣されていることを指摘しつつ、「(医学部増員のような)社会的対立を、対話や協議ではなく司法処理によって解決しようという検察主義的な思考が際立つ派遣」だと記している。

 一方この日、共に民主党のチョン・ソンホ議員室を通じてハンギョレが入手した「この10年間の国会家宅捜索の状況」では、頻繁になった政界に対する強制捜査とその対象の偏向性が目立つ。尹錫悦政権発足からの2年間(2022年5月~2024年5月)で、検察や警察などの国会での家宅捜索の回数は22回で、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の在任5年間で行われた国会での家宅捜索の回数(22回)と同数だった。文在寅政権の最初の2年間で行われた国会での家宅捜索の回数は12回。

 家宅捜索対象の野党への偏重も深刻だ。この2年間の国会の家宅捜索の95%(22回中21回)は、野党民主党の議員や党関係者を対象としていた。2022年11月9日、ソウル中央地検が大庄洞(テジャンドン)捜査のために、当時の党代表政務調整室のチョン・ジンサン室長の国会本庁内事務所を家宅捜索したのを皮切りに、収賄の疑いが持たれているノ・ウンネ議員関連の家宅捜索が4回、党大会での現金封筒疑惑事件関連の家宅捜索が6回行われている。

 文在寅政権でも家宅捜索の「野党偏重」現象は見られたが、与野党間の格差はこの2年より小さかった。文在寅政権時代では、与野党いずれも捜査対象となったケースを除くと、野党を対象とした家宅捜索は12回(55%)、与党民主党を対象とした家宅捜索は6回(27%)だった。

コ・ナリン、イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1139746.html韓国語原文入力:2024-05-08 17:58
訳D.K

関連記事