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「非公開会談、85%が尹大統領の発言」…韓国最大野党代表「もどかしく残念だった」

登録:2024-04-30 09:37 修正:2024-04-30 10:08
「20分の距離、来るのに700日」…イ・ジェミョン代表「15分決心して批判」
尹錫悦大統領(右)が29日、ソウル市龍山にある大統領室執務室で開かれた最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表との会談で、イ代表が準備した要求事項を聞いている/聯合ニュース

 「選挙運動でとてもご苦労されたでしょうが、体調はもう回復されましたか」(尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領)

 「まだかなり疲れが残っています。ありがとうございます」(共に民主党のイ・ジェミョン代表)

 29日、ソウル市龍山(ヨンサン)の大統領室で行われた尹大統領とイ代表の初めての会合は、互いに体調を気遣うことから始まった。

 尹大統領はこの日午後2時頃、会談場所である2階の執務室を訪れたイ代表を笑顔で迎えた。大統領は握手をしてイ代表の腕を取って親しみを見せた。二人は一緒に2階ロビーで記念撮影をした。イ代表は「今日は雨が降ると言われていたが、天気はとてもいい」と言うと、、尹大統領は「韓国国民が(会談を)待ち焦がれていたので、このようにいい天気を与えてくれたのではないが」と応じた。

 しかし、本格的に会談が始まると、たちまち張り詰めたムードとなった。

 イ代表は写真撮影を終えた一部の取材団が、大統領室の職員の案内によって撤収しようとすると、「退場は待ってほしい、大統領に申し上げる言葉を書いてきた」として、事前に準備したA4用紙10枚分の原稿を取り出して読みだした。

 イ代表は「(国会から龍山の大統領室に)来るのは20分ほどだったが、実際にここに来るのには700日かかった」というとげのある冗談で始め、党最高委員会の公開発言を彷彿とさせる意を決したような発言を続けた。イ代表は「今日申し上げる言葉は受け入れづらいかもしれないが、野党と国民のこの政権の2年間に対する評価の一面だと考えてほしい」として、民生回復支援金(家計支援金)の受け入れ▽議会活動の対立の早期解決▽尹大統領の過度な拒否権行使の遺憾表明および自制▽梨泰院(イテウォン)惨事特別法および海兵隊C上等兵特検法の受け入れなど、これまで共に民主党が主張してきた国政要求事項をもれなく述べた。

 尹大統領が敏感に反応することが分かっていた大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の疑惑についても、「(国政に)大きな負担となる家族などの周辺の関係者の様々な疑惑も解消して次に進んでほしい」と言及した。イ代表は「いま申し上げたことはきわめて不快になりうる」とし、「私の言葉は私の口を借りた国民の意思だと考えていただければありがたい」とも述べた。

尹錫悦大統領が29日、ソウル市龍山にある大統領室執務室で行われた最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表との会談で、イ代表が伝えた要求事項を聞いた後、発言している/聯合ニュース

 尹大統領は、イ代表の発言が15分ほど続く間、首を縦に振りながらも、固い表情を見せもした。大統領はイ代表の発言が終わると、「お言葉に感謝する。いつもイ代表と共に民主党で強調されていた話なので、このような話をされると予想していた」と答えた。

 尹大統領は非公開会談に移った後、イ代表に龍山の大統領室についての説明もしたという。大統領室高官は「尹大統領がイ代表に龍山の境内の位置や歴史、地理的背景などを説明した」と述べた。

 関心を集めた尹大統領とイ代表の「単独面談」はなかった。共に民主党側の関係者は「単独面談をすれば、取り引きをしたという話が出る可能性があり、当初から大統領室側に単独面談はしないと話していた」と述べた。

 この日の会談では、ごぼう茶と伝統菓子、果物が出された。大統領室側は「イ代表がごぼう茶が好きだと聞いた」と述べた。会談は予定されていた1時間をはるかに超え、2時間15分間続いた。大統領室高官は「会談を終え歓談が交わされ、イ代表は尹大統領に『招待して配慮していただいたことに感謝する」と述べると、尹大統領は『また会いましょう』と返事をした」と述べた。

 ただし、イ代表は尹大統領との会談後、「もどかしく残念だった」とし、「意思疎通の最初のページを開いたということに重きをおく」と述べたと伝えられた。

 共に民主党のパク・ソンジュン首席報道担当はこの日午後5時30分に会見を開き、「わが党が主張した民生回復と国政の基本方針に関して、民生を回復して国政の基本方針を転換するという意志がないようにみえた」とし、このように伝えた。パク首席報道担当は「トップ会談に大きな期待をかけたが、変化は見いだせなかった」として、「(尹大統領の)状況認識があまりにも安易で、今後の国政が懸念される」とした。

 この日の非公開会談では、尹大統領の各種の議題に関する返答が長引き、拒否権行使の自制など一部の議題については考えの表明はなかったという。パク首席報道担当は「拒否権問題について非公開会談では言及はなかった」とし、「イ代表が話題を切り出すと尹大統領が答えたが、返事が非常に長かった。チョン秘書室長が計算してみたところ、(尹大統領とイ代表の発言の比率は)85対15」だったと述べた。

カン・ジェグ記者、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1138649.html韓国語原文入力:2024-04-30 07:41
訳M.S

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