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帰国した駐豪韓国大使が握る「カギ」…決裁覆した背後に大統領室の存在があったのか

登録:2024-03-22 06:43 修正:2024-03-22 08:59
海兵隊員C上等兵殉職事件の外圧疑惑で捜査を受けているイ・ジョンソプ駐オーストラリア大使が21日、仁川国際空港第1ターミナルを通じて帰国し、取材陣の質問に答えている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 21日に帰国したイ・ジョンソプ駐オーストラリア大使は、海兵隊員C上等兵殉職事件の捜査に「異例の指示」をした張本人だ。

 当時国防部長官だったイ大使は、海兵隊捜査団の結果報告書を決裁した翌日、自らの決裁を覆し、警察への移牒を中断させた。「指示を覆した」という事実自体には関係者の誰も異見を唱えていない。残った争点は「異例の指示」を外圧と判断し、イ大使に職権乱用疑惑を適用できるかどうか、もし適用できるならば、「誰か」の指示に伴う行為だったのかだ。イ大使は「捜査外圧疑惑」という事件の核心を究明するカギを握っている人物であるわけだ。

 当時、海兵隊捜査団長だったパク・チョンフン大佐だけでなく、複数の海兵隊捜査団関係者たちは口を揃えて「尹大統領が激怒」したと聞いたと供述した。C上等兵事件の調査結果が事実上縮小され、警察に最終的に移牒されたのは「大統領の指示」だということだ。イ大使は国防部長官だった昨年7月30日、パク大佐がイム・ソングン海兵隊第1師団長(当時)を含む事件関係者8人に業務上過失致死傷を適用し、事件を慶尚北道警察庁に移牒するという報告を受けてそれを承認したが、翌日立場を覆し、移牒を保留するよう指示した。

 「尹大統領の激怒」により国防部長官が正当に下した業務指示を覆したとすれば、「職権を乱用し義務のないことをさせた」ことになり、尹大統領の職権乱用権利行使妨害罪が成立しうる。イ大使の決裁を覆す理由が今回の捜査の核心であり、これを明らかにするためにはイ大使の捜査が重要というわけだ。

 情況を示すものは多い。イ大使がキム・ゲファン海兵隊司令官を通じて事件移牒の保留を指示する約10分前に、大統領室関係者と通話した記録が確認されたという7日付の「文化放送」(MBC)の報道内容が代表的だ。その他にも、海兵隊捜査団が事件を慶尚北道警察庁に移牒した直後に、大統領室国家安保室と海兵隊司令官側との通話があった事実も、ハンギョレの報道で確認された。事件の回収に大統領室の介入があったとみられる有力な情況だ。

 イ大使の弁護人はこの日、記者団に送った立場表明文で、「軍に捜査権がないため、『捜査外圧』自体が法律的に成立しない」とし、「高位公職者捜査処が出国禁止の期限を延長して調査が必要だと言ってきており、十分な準備期間があったため、召還調査を進めるとみている」と述べた。

 同日、ソウル龍山区(ヨンサング)の中央地域軍司法院で開かれたパク大佐の3回目の公判期日には、警察に移牒された事件記録を国防部検察団が回収した昨年8月2日、回収直前に大統領室に派遣された海兵隊のK大佐と電話で話したキム・ファドン海兵隊司令官秘書室長(大佐)が証人として出席した。キム大佐は当時の通話に関する質問に「(K大佐と)通話はしたが、内容は覚えていない」とし、「6カ月前のことだ。通話したことを覚えているかという質問自体が無理ではないか」と声を荒げた。

 パク大佐の法律代理人であるキム・ジョンミン弁護士は記者たちに「検察側の証人申請が終われば、我々が証人申請をする番だが、その一番目がイ・ジョンソプ前国防部長官」だと語った。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1133301.html韓国語原文入力:2024-03-22 00:28
訳H.J

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