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[社説]「セウォル号捜査外圧」疑惑の関係者が民情首席だとは

登録:2024-05-08 01:03 修正:2024-05-08 09:20
尹錫悦大統領が7日、ソウル龍山の大統領室庁舎で、新たに民情首席に任命したキム・ジュヒョン元法務次官を紹介後、取材陣の質問に答えている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、大統領選挙の公約を破って新設した大統領室の民情首席にキム・ジュヒョン元法務部次官を任命した。キム首席は検察在職時に、代表的な「政治検事」とされた人物だ。朴槿恵(パク・クネ)政権時代には、「セウォル号惨事」を捜査する第一線の捜査チームに「外圧」を行使したという疑惑が持たれた。尹大統領は就任当時、民情首席が司正機関を掌握して権力を乱用した例が少なくなかったとして民情首席室を廃止した。かと思ったら今度は「民意聴取機能が脆弱だ」との理由で民情首席室を復活させた。だが検察、それも「セウォル号捜査外圧」疑惑にかかわる人物を据えて、どんな民意を聞くというのか。

 キム首席は法務部の検察局長だった2014年11月、セウォル号事件の捜査で海洋警察の関係者に対して「業務上過失致死」容疑を適用するなとのファン・ギョアン法務部長官(当時)の「メッセージ」を最高検察庁と第一線の捜査チームに伝えた人物とされた。朴槿恵政権は、海洋警察の関係者に業務上過失致死容疑が適用されて政権責任論が強まることを懸念し、ウ・ビョンウ大統領府民情首席(当時)を前面に立ててそれを阻止しようと躍起になっていた。キム首席は朴槿恵政権時代に、法務部次官や最高検察庁次長などの要職を歴任した。検察のセウォル号特別捜査団は2021年1月、ファン元長官やキム首席らを、出頭させて取り調べることもなしに職権乱用容疑について嫌疑なしとした。捜査する意志があるのか疑われるほどの「手抜き捜査」だったが、それはキム首席がそれだけ絶妙に「事」を処理したことを傍証する。尹大統領はこのような能力を高く買ったのか。キム首席は李明博(イ・ミョンバク)政権時代にハン・ミョンスク元首相に関連する捜査を指揮し、民主党の反発を買ったこともある。ハン元首相は最高裁で有罪が確定したが、検察の強圧的な捜査と供述でっち上げ疑惑も持ち上がった。ただでさえ今は民主党ばかりを標的にした捜査で検察に対する野党の反発が激しいのに、民情首席にこのような経歴を持つ人物を任命しなければならないのはなぜなのか。

 キム首席は朴槿恵政権初期の2013年に「国家情報院コメント」捜査でも非難されている。「原則的な捜査」を強調したチェ・ドンウク検察総長と確執のあったファン長官のメッセージを捜査チームに伝える役割を担ったのだ。当時、捜査チーム長だった尹大統領が、検察の先輩であり上官でもあるキム首席を快く思っていなかったことは、広く知られている事実だ。にもかかわらず尹大統領が今回キム首席を指名したのは、キム・ゴンヒ女史に対する検察の捜査と無関係ではないと考えられる、というのが一般的な評価だ。キム首席を通じて検察を掌握するという発想ではないと言えるのか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1139577.html韓国語原文入力:2024-05-07 18:03
訳D.K

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