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[社説]特検も意思疎通も「マイウェイ」の尹大統領、何のための記者会見なのか

登録:2024-05-11 06:17 修正:2024-05-14 09:11
尹錫悦大統領が9日午前、ソウル龍山大統領室庁舎の執務室で「尹錫悦政権2年国民報告および記者会見」の冒頭発言を行っている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が9日、就任後2回目の記者会見を開き、自分と夫人のキム・ゴンヒ女史が関わった事件の捜査と特検に対する立場を明らかにした。キム女史のブランドバッグ受け取り疑惑に対する検察捜査についてはこれと言った言及がなかった。しかし、「キム・ゴンヒ株価操作疑惑特検」については「政治的攻撃」だとし、拒否する意思を明らかにした。2日に国会で可決された「海兵隊C上等兵殉職事件捜査妨害疑惑特検」についても、「警察と公捜処(高位公職者犯罪捜査処)の捜査を見守るべきだと考えている」として、拒否権の行使を予告した。

 両事件とも、特検実施を賛成する世論が70%前後に達する。すでに総選挙の惨敗で前例のない民意の警告状を受け取ったにもかかわらず、少しの変化もなく大多数の民意の要求に耳を塞いだまま、特検を拒否する意思を改めて表明したのだ。多くの国民は、尹大統領が今回の会見を通じて、自身と夫人の私的利害よりも、公正と常識を掲げる国家指導者としての責任感を示すことを期待していただろう。にもかかわらず、最後まで自身と夫人の安危だけを考える尹大統領の行動に失望を禁じ得ない。

 尹大統領は「株価操作特検」について、「前政権で事実上、私をターゲットにして検察が徹底的な捜査を行った。前政権が私と私の家族をかばってずさんな捜査をしたということなのか、問わざるを得ない」と反対論を展開した。しかし、現政権の検察もまた、2年が過ぎてもキム女史に対する取り調べすらまともに行っていないという事実には全く触れなかった。キム女史に何の疑いもなければ、不起訴処分をすればいい。にもかかわらず、これまで検察がどうすることもできずにいるということ自体が、特検の必要性を物語っているのではないか。このような常識的判断を無視して拒否権を乱用したため、国民の信頼を失い、総選挙で惨敗したのだ。

 海兵隊員殉職事件もまた、ただ公捜処の捜査を待ち続けるわけにはいかないことに国民の共感がなされた事案だ。公捜処が一部成果をあげているものの、大統領室が関与した権力型ゲート疑惑を速やかに捜査するには力不足であることも事実だ。捜査は公捜処がおこなっても起訴権は検察が握っている。現政権下の検察に対する国民の不信感を考えると、結局は特検に任せなければ国民は結果に納得できないだろう。

 尹大統領は海兵隊捜査団の捜査結果について国防部長官を叱責したのかを尋ねる質問に対し、「C上等兵の死亡直後、なぜ無理な救助作戦を行ったのかと叱責した」という的外れな答弁をした。意思疎通の拒否を通り越して国民を欺瞞しようとしたのではないか。このように責任逃れや一方的な主張だけを繰り返すために、1年9カ月ぶりに記者会見を開いたのか、疑念を抱かざるを得ない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1139937.html韓国語原文入力:2024-05-10 17:57
訳H.J

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