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医学部に行くために今から…「小学校5年生なのに地方留学」韓国塾業界過熱

登録:2024-03-22 01:32 修正:2024-03-22 11:24
非首都圏の医学部に増員分の82%配分 
「首都圏逆差別」として訴訟も辞さず
先月6日午後、ソウル市内のある大学の医学部前の様子/聯合ニュース

 「小学校5、6年生の子を持つ大峙洞(テチドン)在住の保護者から、地方留学させるか悩んでいるという電話が一日に5、6本かかってきます」(医学部入試コンサルティング会社の関係者)

 政府が2025学年度の医学部定員の増員分2千人の82%を非首都圏に割り当て、地域人材選考の割合も高めることを決めたことが、ソウルおよび首都圏の保護者に波紋を広げている。医学部に入学するために「地方留学」も辞さずとする小学生の保護者の動きが見られる一方で、首都圏の生徒に対する「逆差別」だとして保護者が政府を相手取って提訴してもいる。無分別な「医学部希望」の空気が、選抜方式や卒業後の地域定着策などが具体化されていない医学部の増員分の配分発表とぶつかり、江南(カンナム)の塾街などを中心に過熱しつつある。

 政府が割合を高めることを決めた地域人材選考は、大学の所在する地域の高校の卒業生にのみ志願資格を与える選考方式だ。現在の中学2年生が修学能力試験(大学入試)を受ける2028学年度からは、大学所在地域の中学校と高校を出ていなければならず、居住も義務化される。

 中高の6年間を地域で過ごせば、地域医学部の地域人材選考とソウル・首都圏医学部の入試を両方受験できるため、一部の小学生の保護者は地方留学を考慮している。政府が医学部定員の配分を発表した20日以降、保護者が集うコミュニティーでは「地域人材選考を考えると落ち着かない。地方に引っ越したい」、「大峙洞で学ばせてどうするのか」、「本当に子どもを連れて地方に行かなければならないのか」などの書き込みが見られる。

 医学部入試コンサルティング会社の関係者は21日、ハンギョレに「医学部の準備をしていた江南、瑞草(ソチョ)の保護者の間では、地方留学を考えるムードがはっきりとある」とし、「江南圏や東灘(トンタン)のようなところでは、医学部の増員を見込んで、中学校から地方に行っている子どもたちがすでにかなりいるが、彼らもここまで人数が増えるとは思っていなかったため、政府発表にほくそえんでいる」と雰囲気を語った。

 一部では具体的な留学先まで示している。例えば忠清圏は地域拠点大学である忠南大学(90人増員)や忠北大学(151人増員)などの医学部定員が大幅に増えたうえ、塾街が集まる江南とは高速鉄道SRTなどでつながっているため、有望な「留学先」とみなされているという。特に地域学群が整っており、ソウルとのアクセスが良い世宗市(セジョンシ)については「医者になるには世宗市へ」、「世宗市の家の10軒に1軒は子どもが医者」という冗談が出るほどだ。

 一方では、地域中心の医学部増員および地域人材選考の拡大はソウル・首都圏の逆差別だとする保護者の反発が具体化しつつある。ソウル地域の医学部生や保護者、受験生は、教育部と保健福祉部を相手取って、ソウル行政裁判所に医学部入学定員の増員と割り当て処分の取り消しを求めて20日ぶに行政訴訟を起こした。地方大学中心の医学部増員はソウルの生徒たちにとっては不利になるため取り消すべきだとの趣旨だ。訴訟で原告の代理人を務めるイ・ビョンチョル弁護士は、「ソウル首都圏の保護者たちの怒りが爆発しているため、今後も集団訴訟が相次ぐだろう」と述べた。

シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1133300.html韓国語原文入力:2024-03-21 16:36
訳D.K

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