「(性的マイノリティーであることが明らかになるのを恐れて)あまりトイレには行きません。我慢したり、本当に行きたい時は早退したこともあります」(男子校に通う16歳のトランス女性)
「使う人が少ない奥の方のトイレを見つけて利用しています。個室の外に人がいないことが確認できたら出てきます」(男女共学校に通う16歳のトランス男性)
トイレのような施設は、学校の構成員の誰もが利用する日常的な空間だ。しかし「女」と「男」の二分法的な性で分けられた学校のトイレは、身体の外観上の性別と自認する性の一致しないトランスジェンダーの生徒にとっては不便で恐ろしい空間だ。
青少年性少数者支援センター「ティンドン」は20日午後、ソウル中区(チュング)のカナダ大使館で、性的マイノリティーの生徒を排除し差別する学校を変えるための法・制度改善に関する研究の発表会を開催した。ティンドンは改善案作りに向け、昨年9月24日から10月7日にかけて、性的マイノリティーの生徒に対するアンケート調査を実施した。86人の回答者のうち、学校のトイレ利用の不便さを訴えたのは59人(69%)に達した。
回答者たちは「水を飲まないようにしている」、「(トイレから)人がいなくなるまで我慢する」、「(休み時間ではなく)授業時間に(トイレに)行く」と吐露した。トイレを利用する過程でのアウティング(他人が性的マイノリティー当事者の意思に反して性的指向や性的アイデンティティーなどを公開すること)を懸念しているのだ。
学校で性的マイノリティーの生徒たちが受けるいじめも深刻だ。青少年人権行動「あすなろ釜山支部」が1月に公開した「釜山地域の生徒(小中高およびオルタナティブスクール)の性的マイノリティー実態調査」によると、回答者208人中39%が学校で性的マイノリティーであることを理由にアウティング、からかい、侮蔑、非難、暴力などの不当な扱いを受けたと述べている。
ティンドンは、性的マイノリティーの生徒を受け入れる学校にするために、まず「性別、宗教、出身地域、国家、民族などはもちろん、性的指向や性自認を理由として差別されることのないよう施設が作られなければならない」という原則を、教育施設などの安全および維持管理などに関する法律(教育施設法)に規定すべきだと提言した。そして性別、年齢、性自認、障害の有無などに関係なく誰でも使えるよう、1人用として設計された「みんなのためのトイレ」設置の根拠作り(学校保健法施行規則の変更)、1人用のシャワー室や更衣室などの体育活動のための施設、性自認に合う寮への入寮の根拠作り(学校体育振興法の改正)も必要だと強調した。
校内暴力の防止および対策に関する法律(学校暴力防止法)に規定されている「校内暴力」に性的指向や性自認などを理由としたいじめを追加するとともに、施行令を改正して校内暴力の実態調査に性的マイノリティー、多文化、障害を持つなどのマイノリティーの生徒に関する内容を入れようと提案した。