「海兵隊C上等兵死亡事件捜査への外圧疑惑」の主要被疑者であるイ・ジョンソプ駐オーストラリア大使の出国過程をめぐり波紋が広がる中、オーストラリア在住の韓国人らは「韓国が腐敗した国として認識されるのはないか心配だ」という懸念を伝えた。
在豪韓国人団体「シドニーろうそく行動」のノ・ヒョンム事務局長は13日、ユーチューブチャンネル「チャン・ユンソンの取材コンビニ」での電話インタビューで、イ大使の赴任について「保守的な(在豪韓国人の)人々も非常に憤慨し、怒りを見せている」と現地の空気を伝えた。
シドニーろうそく行動の会員20人余りは同日(現地時間)、首都キャンベラの駐オーストラリア韓国大使館前で、イ大使の赴任を糾弾する集会を開いた。同団体の会員たちは「イ大使の任命は『C上等兵死亡事件捜査への外圧疑惑』捜査を妨害するためのもの」だとし、「誰も納得できない不適切な人事」だと糾弾した。同団体は9日にも50人余りの会員がシドニーのアッシュフィールド教会の「平和の少女像」の前に集まり、イ大使任命を糾弾する集会を開いた。
これに先立ち、イ大使は今月4日にオーストラリア大使に任命された後、10日に大統領信任状の原本を受け取る授与式も行わず、オーストラリアに向けて出国した。イ大使は国防部長官だった昨年、海兵隊捜査団が「(水害の救出活動中に死亡した)C上等兵死亡事件」を捜査する過程で圧力を行使し、警察に移管された関連資料を回収するのに関与した疑い(職権乱用など)で、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に告発された。これに対し、公捜処は1月に出国禁止措置を取ったが、法務部はイ大使の異議申し立てを受け入れ、8日に出国禁止措置を解除した。オーストラリアの公共放送「ABC」も12日、「韓国大使のイ・ジョンソプ、自国の不正関連捜査(corruption probe)にもかかわらず入国」との見出しの記事を政治分野の主要ニュースとして取り上げた。ABCは今回の騒ぎが韓国とオーストラリアの外交関係に「困難を招く潜在的可能性がある」と報じた。
ノ事務局長も、在豪韓国人たちが「C上等兵死亡事件捜査への外圧疑惑」の主要被疑者であるイ大使の赴任に憤慨していると伝えた。ノ事務局長は「オーストラリアは基本的に200カ国余りから来た移民が互いに協力と競争をしながら生きていく多民族国家」だとしたうえで、「在豪韓国人たちは、オーストラリアの人々にイ大使の不当な赴任が知られることをかなり恐れている。非常に恥ずかしいこと(だから)」と語った。また「他の国の在外韓国人のコミュニティと同様に、(オーストラリアの韓国人たちも)保守化している部分がある」が「今回の事件に対しては保守的な人たちも非常に憤慨し、怒っている」と話した。
さらにノ事務局長は、「豪政府や住民たちは、(概して)韓国に対して良いイメージを持っている」とし、「今回のことを機に、韓国が腐敗した国かも知れないという印象を持つのではないかと、韓国人として非常に心配している」と付け加えた。
同団体の会員たちは24日にもシドニーのウェストライド駅付近の広場前で、イ大使の赴任を糾弾する集会を開く予定だ。
一方、イ大使は12日、駐オーストラリア韓国大使館のホームページにあいさつの言葉を載せ、赴任を知らせた。イ大使はあいさつで「韓国大使館は両国が北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和を含む域内の平和と安定を増進し、引き続き国防・防衛産業の協力を続けられるよう役割を果たす」と記した。