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専攻医のほとんどが復帰せず…連休後の「法的対応」時は対立激化か=韓国

登録:2024-03-01 07:47 修正:2024-03-01 08:56
28日午前11時現在、294人が病院に復帰
ソウル市内のある大学病院で、医療スタッフが別の建物へと移動している/聯合ニュース

 政府が研修病院を離脱した専攻医(インターン、レジデント)に提示した復帰期限を迎え、少数の専攻医が患者のもとに戻った。専攻医の多数が病院に戻るか、それとも医学部の定員拡大に反対する医師の集団行動が広がり、医政の対立が長期化するかは、政府が復帰していない専攻医に対する法的処分を予告する3月4日以降の状況によって変化する見通しだ。

 保健福祉部の29日の発表によると、主な100の研修病院(専攻医の95%が勤務)からの書面報告を集計した結果、28日午前11時現在で勤務地に戻ってきている専攻医は294人。同日午後7時現在、100の病院の専攻医のうち辞職したのは9997人で、うち勤務地離脱者は9076人。ソウルの大病院の専攻医のAさんは、「2020年のように一緒に動いているのではなく、診療科ごとに状況が異なるため、復帰者がどの程度いるのかの把握が難しい」とし、「うちの科には復帰した専攻医はいない」と語った。政府も、復帰の動きがまだ本格化したわけではないとみている。

 一部の専攻医の復帰には、指導教授の説得が影響を及ぼしたという。非首都圏の国立大学病院の教授は、「人手が足りず教授も大変だから戻って来いと言う方もいる」と説明した。教授グループが病院を去った専攻医と政府とを仲裁できるのではないか、との意見が出ているのもこのためだ。ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)も、「(前日に復帰要請文などを発表した)研修病院長よりも、教授たちが専攻医に復帰を説得した方が、大きな影響を及ぼしうる」と述べた。ただし、政府が増員幅の調整の可能性を残しておかなければ、専攻医に対する復帰の説得には限界がある、との見方は強い。

 福祉部のパク・ミンス第2次官は29日夕方、ソウル汝矣島(ヨイド)の健康保険公団ソウル地域本部の大会議室で10人弱の専攻医に会い、3時間あまりにわたって対話した。パク次官はこれに先立ち、医師集団行動中央災害安全対策本部のブリーフィングで「研修病院の専攻医の94人の代表に対話を案内するショートメッセージを送った。そのメッセージを同僚と共有してほしいと要請した」と説明している。これについて医協非常対策委員会のチュ・スホ報道宣伝委員長は、「最後まで(専攻医たちとの)対話を試みたという姿勢を見せるためのショー」だと批判した。

 政府と医師団体が鋭い対立を続ければ、診療への支障と患者の受ける被害が深刻化するのは火を見るよりも明らかだ。病院を離脱していなかった後期レジデント(3、4年)のほとんどが、2月末の勤労契約終了により病院を去っている。専任医(フェロー)の中には契約を延長しないと述べる人々も出てきている。専攻医のAさんは「いま先送りしているのは直ちにしなくても済む手術なので、時間がたつほど累積した問題が現れざるを得ない」と説明した。

 現局面での最も大きな変数は、専攻医の先輩であり指導を受けた教授たちの行動だ。政府が予告通りに3月4日になっても病院に戻らない専攻医に対する法的処分を開始すれば、彼らの先輩医師や教授までもが医学部増員に反対する集団行動に合流することも予想される。全国の研修病院の専攻医の代表が集う大韓専攻医協議会(大専協)の1期から26期にかけての20人あまりの会長のうちの15人は、この日発表した声明で、「政府は(専攻医の)みなさんのために医学部増員が必要だと語るが、私たちの暗い現実を改善しえないことは分かっている」と述べた。政府に対しては「(健康保険)報酬の引き上げは病院に対する補償であって、医師労働者に対する補償ではない」とし、「医師労働者が現場を離れないよう、司法リスクの解消と適切な補償を直ちに持続的に現実化せよ」と述べた。

 一方では、一部の専攻医や医学部生が、激しい対立を脱してはじめて医療脆弱地と忌避診療科目の医師不足の解決策を模索しうると主張している。「2024年の医学部生の同盟休学と専攻医のストに同意しない医学部生と専攻医の会」と自己紹介しているインスタグラムアカウントにはこの日、「市民が中心に立ち、医療関係者と政府は市民を助けて今後の代案を作っていくというやり方で、今の局面を解消していくことを切実に願う」と投稿されている。

パク・ヒョンジョン、イム・ジェヒ、キム・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1130491.html韓国語原文入力:2024-02-29 21:44
訳D.K

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