本文に移動

専攻医らの離脱から一週間…「教授らが週90時間勤務、このままでは倒れる」=韓国

登録:2024-02-29 06:24 修正:2024-02-29 07:23
専攻医の集団離脱が長期化する中、27日、大邱のある大学病院の救急室にPA(診療補助)看護師と医師が疲れた様子で移動している。保護者が患者の治療を待っている/聯合ニュース

 「政府は(専攻医の集団離脱で)死んだ患者がいないから、(医療現場が)回っていると表現するのかもしれませんが、現場を知っていれば、そんなことは言えないと思います」

 28日、地域の上級総合病院救急医学科のA教授は、専攻医が去った医療現場を「災害」に例えた。A教授は特に応急・重症患者の処置時間が長くなる状況について懸念を示した。「心停止患者が来たら、重症であればあるほど集約的に取り組まなければなりません。一人は気道挿管、もう一人は胸の圧迫、血管をつかんで気道を拡張する人も必要です」

 以前は5~6人が一斉に取り組んで3分以内に終わらせていたことを、今は2~3人が担当するため、処置時間が長くは3倍以上に増えた。現在、同病院は専攻医16人のうち13人が辞表を提出し、病院を離れた状態だ。「コロナ禍が疾病による災害だったとすれば、今度は人手不足による災害状況です。直ちに死亡率が高くなるわけではなくても、後で振り返ったらコロナ禍のように死亡率が増加しているはずです」

 政府の医学部定員増員方針に反発した専攻医の病院離脱が一週間を超え、彼らの業務をそのまま抱え込んだ医療スタッフの業務が大幅に増えた。残りの医療スタッフの「バーンアウト」(燃え尽き症候群)で診療の質が落ち、誤診や過処方などの医療事故が発生しかねないという懸念の声もあがっている。

 教授たちが専攻医に任せられていた当直を順番に引き受け、ドレッシング(傷の治療)から尿道カテーテルを除去する簡単な措置まで行っているため、かろうじて医療現場が維持されているが、残りの医療スタッフは「このような状況が2週間以上続くと、病院に残った医師たちも倒れるかもしれない」と口をそろえる。専攻医6人が全員辞表を提出した翰林大学聖心病院救急医学科のイ・ヒョンミン教授は「専攻医時代に週88時間働いていたが、今その時とほぼ同じ時間の仕事をこなしている。以前より仕事の量が2倍以上増えた」とし、「疲れ切っているがそれでも仕事を続けるのは、政府の政策に同意しているからではなく、私たちまで抜けたら現場が回らないだろうから、歯を食いしばって耐えているのだ」と語った。

 医師の過労は実際、ミスにつながることもある。首都圏のある公共医療機関で小児がん専門医として働いている50代の教授は、「目が回るほど忙しいため、何曜日なのか分からなくなったり、抗がん剤の処方日もあやふやになったりする」とし、「看護師がきちんと確認してくれて、幸い事故は起きなかったが、このような状況がさらに長引けばどうなるか分からない」と話した。

専攻医の集団離脱が長期化する中、27日、大邱のある大学病院の救急室で医療スタッフが疲れた様子で移動している/聯合ニュース

 専攻医がいなくて患者が殺到した2次病院にも過負荷がかかり、軽症患者さえ再び上級病院の救急救命センターを訪れる兆しも見える。A教授は「医師の集団行動の序盤には国民もよく知っているので、患者が減った。1・2次病院も緩衝作用をしてくれたと思う」とし、「しかし、時間が経てばこのような効果は薄れる。上級総合病院の救急救命センターにも軽症患者が徐々に増えている」と語った。

 専攻医の空白を埋めている看護師たちも激務に苦しめられるのは同じだ。特に専攻医が担当してきた手術、処置、処方などの業務を引き受けたPA(診療補助)看護師の業務負担が大きい。地域のある上級総合病院で働く看護師のBさんは「通常、昼間だけ勤務していたPA看護師たちが(専攻医のように)当直勤務をしなければならず、30数時間も連続勤務をしている」と話した。

 時間が経つほど状況が悪化することを懸念する声も高まっている。首都圏のある上級総合病院長は「特に重症患者を主に扱う内科・外科の教授たちの当直疲労が累積しているが、専任医と3~4年目の専攻医まで来週から現場を離れるという話まであり、来週にはさらに状況が厳しくなるだろう」と予想した。

シム・ウサム、コ・ギョンジュ、コ・ナリン、チョン・ボンビ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1130134.html韓国語原文入力:2024-02-29 01:35
訳H.J

関連記事