韓国司法は、加湿器殺菌剤の被害者と遺族に対する国の賠償責任を初めて認めた。8年間続いた控訴審の末に出た結論だ。
ソウル高裁民事9部(ソン・ジヨン裁判長)は6日、加湿器殺菌剤の被害者のKさんら5人が国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の判決公判で、国にこのうち3人に対する300万~500万ウォン(約33万4000~55万7000円)の支払いを命じる判決を下した。裁判所は「環境部長官らがこの事件の化学物質(PHMG、PGH)について不十分な有害性審査を行い、その結果を性急に反映して『有毒物には当たらない』と安全性を保障するかのように告示した。その後、それを10年近く放置した」と指摘した。また「国が安全性を保障したような外観が形成され、そのせいで(加湿器殺菌剤の)化学物質が特に規制を受けずに輸入され、流通し、今のような恐ろしい被害が起きた」と述べた。
ただし裁判所は、5人中2人に対しては、慰謝料と同じ性格の「加湿器殺菌剤の被害救済のための特別法」の救済給与調整金を受け取ったとの理由で、慰謝料を認めなかった。救済給与調整金を受け取っていない3人に対しては、国から支給された他の支援金などを考慮して慰謝料の金額を定めた。
加湿器殺菌剤惨事の被害者と遺族ら13人は2014年8月、加湿器殺菌剤の製造業者のセピュなどと国を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。一審は2016年11月、セピュの賠償責任のみを認めた。国の賠償責任については、公務員の故意や過失による違法行為がないとの理由で棄却した。
被害者の代理人を務めたソン・ギホ弁護士は、「化学物質を審査した環境部の公文書、社会的惨事特別調査委員会が当時の公務員を調査して出てきた証拠が今回の控訴審に提出され、一審判決を覆すことができた」と話した。