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韓国で抗生物質が効かない細菌の感染者3万8千人…5年間で3倍に

登録:2024-01-23 08:44 修正:2024-01-23 09:09
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 最近、済州地域のある病院で強い抗生物質であっても効かない細菌「カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)」の集団感染が発生し、防疫当局が疫学調査にあたっている中、韓国国内のCRE感染がこの5年間で3倍以上になっていることが分かった。抗生物質の誤用や乱用による薬の効かない細菌の保菌者の増加と、感染管理に脆弱な病院環境が発病をあおっていると指摘されている。

 疾病管理庁の統計を21日に確認すると、2023年のCREの感染者数は3万8324人で、前年の3万548人から25%増。2018年の1万1954人に比べると3.2倍だ。第2級感染症に指定されているCRE感染症は、2017年6月に全数監視(発生が確認されれば直ちに保健所に届け出ることが義務付けられている)システムに転換された。CRE感染症とは、カルバペネム系抗生物質が効かない腸内細菌目細菌による疾患のこと。

 抗生物質は細菌の除去や増殖の抑制、肺炎や手術後の感染などの予防に用いられる。しかし、抗生物質が効かない耐性菌が登場している。カルバペネム系抗生物質は2000年代初頭に、既存の抗生物質に耐性を示す細菌の治療に使われはじめた、現在ある中で最も強い抗生物質の一つだ。このような抗生物質の効かない、すなわち耐性を獲得したCREは、人の腸に普通に存在する細菌だが、尿路などのその他の部位に流入すると、尿路感染をはじめ肺炎、敗血症などを引き起こす。日常生活においては感染の可能性は低いが、集中治療室に長期入院している患者、免疫の低下した重症患者の発症が多い。CREはほとんどの抗生物質に耐性があるため治療が制約され、したがって重症患者の死亡リスクも高い。

 感染が拡散するのは、依然として病院が感染症の管理に脆弱だからだ。CRE感染症患者との直接・間接的な接触、汚染された器具や物品の表面との接触などで感染は起こる。外科的な傷や大便、各種の医療装置を通じても感染しうる。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は、「(CREへの感染が)このように増えているのは、国内の医療機関が患者同士の接触による感染を遮断しうる環境になっていないから。大部屋という入院環境、医療スタッフや看病人が1人で多くの患者をみなければならない環境においては、感染が続かざるをえない」と述べた。

 より根本的には、抗生物質の誤用や乱用がCREのような耐性菌の増加を誘発する。韓国は2021年の抗生物質使用量が人口1千人当たり16.0DDD(Defined Daily Dose・WHOの規定する1日の投薬量)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(13.1)より高い。

 疾病庁はCRE感染症の拡散を受け、療養病院を含む地域医療機関と共に細菌伝播のリスク要因を分析し、対応システムを改善する計画だ。

イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1125317.html韓国語原文入力:2024-01-22 07:00
訳D.K

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