7月27日で70年目を迎える停戦協定には、大きく二つの目的がある。一つは「最終的な平和的解決が達成されるまで」一切の敵対行為と武力使用を停止することで休戦状態を維持することだ。もう一つは「3カ月以内に」高官級政治会談を招集し、最終的な平和状態を達成しうる協議を建議することだ。このように停戦協定は平和協定へと進むための「過渡期的協定」であり、平和協定が結ばれるまで維持される「暫定協定」だった。しかし、1954年のジュネーブ政治会議が決裂して以来、平和協定を話し合うための政治交渉は姿を消した。そして停戦協定は強力な体制として固まってしまった。
この過程でいくつかの注目すべき現象も現れている。まず、平和協定が公論化されればされるほど、韓国国内での対立が激化するという現象だ。代表的な例は平和協定の予備段階に当たるという終戦宣言をめぐる対立だ。2018年の南北および朝米首脳会談を経て、文在寅(ムン・ジェイン)政権と当時の与党「共に民主党」が終戦宣言の必要性を強調するほど、当時野党だった「国民の力」の反発も激しくなった。「大韓民国に終末を招く行為であり、反憲法的な行動」という極端な表現まで登場した。そして政権交代後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権と与党(国民の力)は「終戦宣言=偽の平和」というフレームを作り、こんにちまで前政権に猛攻を浴びせている。これに対し、前政権の関係者たちは現政権と与党が「冷戦的思考にとらわれている」と反論している。
陣営論理の外皮をはがして問題の本質を直視する必要もある。現政権と与党の終戦宣言に対する「体質的な拒否感」も問題だが、前政権と野党の「盲目的な執着」も問題だったからだ。「終戦宣言=偽の平和」というフレームはとんでもない政治攻勢であり冷戦的思考だ。一方、前政権と共に民主党は脱冷戦的思考を強調しながらも、韓米合同演習と過去最大級の軍備増強の持続という冷戦的国防政策を追求した。それにとどまらず、民主党は2020年の総選挙で4・27板門店(パンムンジョム)宣言の国会批准と世界5位の軍事強国の実現を公約に掲げた。認知不調和であり言行不一致といっても過言ではない。4・27宣言には、首脳会談レベルでは初めての「段階的軍縮」推進が含まれているからこそなおさらだ。
南北米当局いずれも平和協定に対する無関心さが大きくなったのも残念な点だ。平和協定は北朝鮮の長年の要求事項だった。特に、「区切りの年」(整周年、5年・10年単位で大々的に記念する年)には交渉を開始しようという立場を明らかにしたこともあった。しかし、2020年の朝鮮戦争勃発70年にも、今年の停戦協定締結70年にも、このような立場は表明していない。核武力を国体とすることを決め、平和協定への関心もあきらめた可能性が非常に高いという解釈を可能にする。不運は重なり、尹錫悦政権発足後はどの韓米声明からも、尹政権の国家安保戦略報告書からも、平和協定や平和体制という単語が消えた。どちらか一方によってであれ、あるいは当事者間のコンセンサス形成を通じてであれ、朝鮮半島問題の中心議題だった平和協定がその言葉すら消えた時代に入ったわけだ。
このような南北米当局の無関心とは異なり、国内外の市民社会では停戦体制から平和体制への転換を求める声が高まっている。2020年から国内外の市民・宗教団体や知識人たちは「朝鮮半島平和宣言」に対する全世界の署名と各界の支持宣言を集めている。7月27日までに100万人の署名を集めること目標に活発な活動を展開しており、その結果を朝鮮戦争関連国の政府と国連に伝える予定だ。平和を願う人が増えれば増えるほど、停戦体制を平和体制へと転換しようという声も力を得るだろう。