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「韓国統一部長官候補の歴史観は植民地史観」批判…尹大統領の三一節記念演説に影響?

登録:2023-07-13 00:23 修正:2023-07-13 07:09
6月30日、キム・ヨンホ統一部長官候補が聴聞会準備事務所の置かれたソウル鍾路区の南北会談本部で、記者団の問いに答えている/聯合ニュース

 「金正恩(キム・ジョンウン)政権打倒」を主張するなど、統一部を率いるには不適切な対北朝鮮観を示してきたキム・ヨンホ統一部長官候補が、過去に論文集で「朝鮮は近代国家へと生まれ変わることができなかったため、日本の植民地へと転落した」という歴史認識を示していたことが明らかになった。「私たちは世界史の変化に十分に準備ができていなかったために国権を喪失し、苦しめられたという過去を振り返らなければならない」という尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の今年の三一節記念演説と一脈通じる歴史認識だ。

 キム候補は2008年、代表的なニューライトの研究者であるソウル大学のアン・ビョンジク名誉教授、ユ・ヨンイク元国史編さん委員会委員長、ノ・ジェボン元首相らと共に論文集『大韓民国建国60年の再認識』を出した。キム候補は「国家論の観点からみた大韓民国建国の特徴と意義」と題する文章で「旧韓末の朝鮮は西欧の膨張に直面し、近代国家へと生まれ変わることができなかったため、明治維新を通じて近代国家に変身した日本の植民地へと転落してしまった」(680ページ)、「旧韓末のように世界史的次元で展開されている新たな変化を理解できなければ、我が民族は別の困難に直面する恐れがある」(690ページ)と述べている。

 これは、19世紀後半の日本帝国主義が外国に対する干渉を正当化するために作り出した植民地史観と一脈通じる発言だと評価される。明白な強制侵奪の原因は加害国ではなく被害国にあるとの論理だ。キム候補は2005年にニューライト学者の集まりである「ニューライトシンクネット」の運営委員長に就任しているほか、ニューライト系の歴史教科書執筆を目標とする「教科書フォーラム」にも参加し、ニューライト式の思想的資源を提供してきた。

 キム候補が論文集で「世界史的次元の変化」に言及した部分は、植民地史観だとの批判を呼んだ尹錫悦大統領の三一節記念演説とも類似している。尹大統領は同演説で、日本は軍国主義侵略者から普遍的価値観を共有するパートナーになったと述べつつ、「私たちは世界史の変化にきちんと準備できていなかったために国権を喪失し、苦しめられた私たちの過去を振り返らなければならない」と述べた。

 共に民主党のキム・サンヒ議員は「キム・ヨンホ候補のような極右ユーチューバーの考えが尹錫悦大統領の三一節記念演説にまで影響を及ぼしているということが明白にあらわになった」とし、「尹大統領は反歴史的で反憲法的な認識を持つキム候補の指名を直ちに撤回するとともに、極右勢力と決別すべきだ」と述べた。

 韓国による吸収統一を目指しているようにみえるキム候補の統一観も、同論文集で再確認された。同じ文章でキム候補は、「国家論の観点からみると、統一の基準は浪漫的な民族概念ではなく、政治体制の同質性でなければならない。2つの異質な政治体制が前近代的な『民族』という名によって連合国家あるいは連邦国家を構成するということは不可能だ」とし「国際社会は…南北の間の政治発展と経済力の面での顕著な違いをみれば、韓国が朝鮮半島統一の主体とならざるを得ないということを認めている」と述べている。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1099750.html韓国語原文入力:2023-07-12 10:21
訳D.K

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