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アスパルテーム「発がん性物質」に分類…「ゼロコーラ」を飲んでも大丈夫?

登録:2023-07-08 02:15 修正:2023-07-08 05:18
[Q&A]
WHO傘下のIARCが、砂糖を代替する人工甘味料の一つ「アスパルテーム」を発がん性物質(グループ2B)に指定する方針が伝えられたことを受け、食品業界は代替甘味料を探すなどの対策に乗り出した。写真は4日、ソウルの大規模スーパーに陳列されたゼロカロリー飲料/聯合ニュース

 世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)が今月14日に、砂糖を代替する人工甘味料「アスパルテーム」を発がん性物質に分類することが報じられたことで、消費者の懸念が高まっている。ここでは韓国の食品医薬品安全処(食薬処)と専門家の説明を総合し、アスパルテームをめぐる疑問をまとめた。

-アスパルテームとは?

 「加工食品を製造する際、甘みを出すために砂糖の代わりに使う食品添加物で、アミノ酸系の合成(人工)甘味料だ。砂糖の甘みを1とすると、アスパルテームの甘みは200ほど。アスパルテームのカロリーは1グラム当たり4キロカロリーで砂糖と同じだが、200分の1ほど使用するだけで同じ甘みが得られるため、低カロリー甘味料として使われている。1965年に米国の化学者ジェームズ・シュラッターが偶然発見し、その後、米国で1974年、日本で1983年、韓国で1985年に食品添加物に指定された。現在、200カ国あまりで使用されている。食薬処が国内での使用を承認した人口甘味料はアスパルテームを含めて22種。他にスクラロース、エリスリトール、サッカリンナトリウムなどがある」

-主にどこに使われている?

 「飲料、マッコリ、菓子、パン、健康機能食品などに幅広く使われている。アスパルテームを使用している主な製品としてはロッテ七星飲料の『ペプシゼロシュガー』、ソウル長寿マッコリの『長寿マッコリ』、麹醇堂の「麹醇堂生マッコリ」、オリオンの「ポカチップ・オニオン味」などがある。パン類、菓子、パン類製造用ミックス、菓子製造用ミックスには1キロ当たり5グラム以下、シリアル類と特殊医療用途食品には1キロ当たり1グラム以下、体重調節用調剤食品には1キロ当たり0.8グラム以下、健康機能食品には1キロ当たり5.5グラム以下の使用が認められている」

-IARCによる発がん性物質への指定は何を意味する?

 「IARCは発がん性を検討した結果、14日にアスパルテームを『グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)』に分類するという。グループ2Bはがんを誘発する可能性はあるものの、人体および動物実験において発がん性があるという証拠が不十分なもの。人体および動物実験を通じてがんを誘発しうるという証拠が十分得られたものであればグループ1に、人体では発がんの可能性の証拠が不足しているものの、動物実験から十分な証拠が得られていればグループ2Aに分類される。グループ1には酒とタバコ、ソーセージやハムなどの加工肉が、グループ2Aには牛肉などの赤肉が、グループ2Bにはキムチ、キュウリのピクルスのような野菜の漬物が含まれる。このような分類は、さらなる研究の結果によって修正されることもある。1991年にグループ2Bに分類されたコーヒーは、2016年に25年ぶりに除外されている」

-発がん性物質に指定されると、韓国での使用は禁止されるのか?

 「IARCの発表内容によって変化する。国内でアスパルテームの使用が全面禁止される可能性は低い。許容一日摂取量(ADI)が変わるかも未知数だ。ADIとは、人が一生にわたり毎日食べても有害ではないとされる体重1キロ当たりの1日の摂取量で、アスパルテームのADIは体重1キロ当たり40ミリグラム以下。ADIを定めているのはFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)で、発がん性の検討結果が出る14日に摂取許容量が調整されるかどうかも同時に発表されるとされている。食薬処はまずJECFAの決定を見てから、アスパルテームのADIを変更するかどうかを検討する方針だ。IARCによる発がん性物質への指定が常に韓国のADI調整に影響を及ぼすわけではない。IARCが2015年に加工肉と赤肉をそれぞれグループ1とグループ2Aに分類した際にも、国内のADIは変わっていない」

-アスパルテームは摂取しても大丈夫なのか?

 「食薬処が発行した『2019年食品添加物基準・規格再評価最終報告書』によれば、韓国人のアスパルテーム摂取量はADI(体重1キロ当たり40ミリグラム)の0.12%程度。食薬処の説明によると、体重が35キロの子どもがADIを超えるためには、1日に250ミリリットルのダイエットコーラ(アスパルテーム含有量43ミリリットル)を33缶以上飲まなければならない。体重が60キロの成人は65ミリリットルの飲むヨーグルト(アスパルテーム含有量5.6ミリグラム)を428本、750ミリリットルのマッコリ(アスパルテーム含有量72.7ミリリットル)を33本飲んでようやく基準を超過する。

 食品の専門家も、アスパルテームの摂取を過度に懸念する必要はないとの立場だ。中央大学食品工学科のハ・サンド教授はハンギョレの電話取材に対し『現在、IARCが発ガン物質に指定している酒、タバコ、赤肉に比べてアスパルテームの摂取量は少量なので、日常的な水準で摂取しているのなら心配しなくても良い。IARCによる発がん性物質への指定検討は、このところの「ゼロ」ブームで人口甘味料の使用が増加していること、人口甘味料が過度に盲信されていることに対する警告の観点からのものと解釈される』と話している」

キム・ユンジュ、チョン・ホソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1099133.html韓国語原文入力:2023-07-07 06:00
訳D.K

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