韓国の水原(スウォン)、華城(ファソン)、安城(アンソン)など京畿南部地域で、子どもを産んでも出生届を出していない、「出生届未提出」事件の通報が11件にもなっており、警察が捜査している。このうち4件は乳幼児の生死さえ分からないうえ、母親の国籍が不明だったり未登録外国人であるケースもあり、捜査は難航するものとみられる。
26日の京畿南部警察庁の話を総合すると、対応に当たっている市や郡などから捜査依頼を受けた「出生届未提出乳幼児事件」は計15件。警察はこのうち乳児の安全が確認された4件を終結し、残りの11件を捜査している。事件は同警察庁の女性・青少年捜査隊が5件、安城・水原中部・東灘(トンタン)警察署が各2件を担当している。しかし同警察庁は迅速に捜査するため、各警察署に分担させていた事件をすべて移送させ、自ら捜査する方針だ。
事件ごとにみると、まず同警察庁は、生後8日の新生児をインターネットを通じて知り合った人物に渡して遺棄した疑い(児童福祉法上の遺棄)で、華城市在住の20代の女性A氏を立件して調査中だ。A氏は2021年12月、ソウルのある病院で出産し、翌年1月2日にソウルのあるカフェで男性2人と女性1人と会い、生まれたばかりの子を渡した疑いが持たれている。
しかしA氏は警察に「赤ちゃんを連れて行った人の身元や連絡先は分からない」と供述している。警察は遺棄当時、実父もこのような事実を知っていたか加担していたとみて、共に立件して調べている。また、A氏の携帯電話を精密分析(フォレンジック)して子どもを連れて行った人物を探している。子どもの生死は確認されていない。
また、水原市に住所を置く30代の外国人女性B氏は、2019年に出産後、出生届を出していなかったため、警察が捜査している。B氏は国籍も不明確な状態であるため、警察は監査院に身元情報の提供を要請している。
安城警察署が捜査中の事件は、不法滞在となっているベトナム国籍とタイ国籍の女性が、出産後に出生届を出していないもの。子どもの生死も不明だ。
安城に住む40代の女性C氏は、2021年に他人の名義を借りて忠清南道天安市(チョナンシ)のある病院で出産し、出生届を出さずに子どもを育てていた疑い(児童福祉法違反)で立件された。子どもは無事だという。C氏は警察に「個人的な事情で知人の名を借りて病院に行った」と供述しているという。水原中部警察署が調査中の30代の女性D氏は、昨年1月に出産し、首都圏のあるベビーボックスに赤ちゃんを遺棄した疑いで立件された。警察がソウル冠岳区(クァナック)に確認したところ、赤ちゃんは児童保育施設で過ごしていることが把握された。
そのほか、華城東灘警察署が担当する2件は、ある家庭が2017年と2018年に生まれた子どもの出生届を家庭の事情により出していなかったというもの。華城市と警察がその家庭を訪問したところ、幸い子どもの安全は確認された。
いっぽう警察は、水原市で乳児2人を殺害して冷蔵庫に遺棄した30代の実母を23日に拘束した。この女性は2018年11月と2019年11月にそれぞれ出産。生まれた子どもを直ちに殺害し、自宅の冷蔵庫に保管していた疑い(乳児殺害など)が持たれている。夫との間に8歳から13歳までの3人の子どもがおり、経済的困難から犯行に及んだとの趣旨の供述を行っている。警察は現在、この女性の夫も犯行に加担したかどうかなどを調べている。