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韓国、急騰する物価に経済的弱者層は悲鳴…「飲み物一つで一食しのぐ」

登録:2022-04-07 10:51 修正:2022-04-07 18:04
[ルポ]苦しさ深まる無料給食所・庶民食堂 
 
タプコル公園の無料給食所、運営にあえぐ 
地域児童センター「買い物するたびに困惑」 
フードバンク、食料品を求めて訪れる人が相次ぐ 
「安い牛の雑骨を煮て食べ…果物などは考えられない」
6日昼、ソウル鍾路区のある無料給食所で昼食を配膳された高齢者たちがタプコル公園に設けられた食事場所で昼食を食べている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「最近は何もかも高くて、朝に飲み物一つ飲んでしのぐときもあります。物価が上がるのはどうしようもないでしょう。私たちのような人たちはただ見ているしか…」

 6日昼、ソウル中区(チュング)のソウル駅の無料給食所近くの空き地には、ホームレスの人たちと高齢者が数百人並んでいた。教会で配る無料のスナックをもらうためだ。早朝からソウル駅に出て無料給食で食事を済ませた後、スナックの配食を待っていたCさん(77)は、物価の話にため息をついた。「以前はひと月に1回ぐらいは食堂に行く時もあったけれど、最近はお金を払って食べることなどできません。ほとんど無料給食所で食べます」。同じ列に並んだKさん(69)も、「最近物価が上がって、なかなか買い物もできない。体の具合が悪いが、せめてスナックでももらおうと思って出てきた」と話した。Jさん(70)も「大根1本が3000~4000ウォン(300~400円)もする。とても暮らせない」と吐露した。この日午後12時30分頃、ボランティアがバナナ、のり巻き、ラーメン、飲料水などの入った包みを配り始めてから10分で、250個あまりを配り切った。

 先月、消費者物価が10年3カ月ぶりに最大幅の前年同月比4.1%上昇し、市民の苦しさが深まっている。特に加工食品(6.4%)、外食物価(6.6%)などが前年同月に比べ大幅に上昇し、経済的弱者層は「生活苦の問題」を訴える。

 この日、ソウルのあるフードバンクにも食料品を求める人の訪問が続いた。フードバンクは、一人親家庭や基礎生活受給者(日本の生活保護受給者に相当)など、自治体の福祉網に組み込まれた経済的弱者層に食料品を無料で提供する場所だ。ここを訪れた基礎生活受給者のFさん(65)は、「実質的に使える生活費は月に40万ウォン(約4万円)程度だが、昨年から物価が上がり始め、今年高騰して、買い物に出ても何も買えない」とし、「牛の雑骨は安いから、それを買ってじっくり煮込んでご飯を食べるだけ。野菜や果物は夢にも考えられない」と話した。Kさん(65)も「老齢年金を48万ウォン(約4万8千円)ほどもらって暮らしているが、物価が上がりすぎてほうれん草も買えない。今日のお昼も牛乳1杯を飲んだだけ」と話した。

6日、ソウル龍山区のソウル駅近くの空き地で無料のスナックをもらうため、早朝から高齢者やホームレスの人々が並んで待っている=パク・チヨン記者//ハンギョレ新聞社

 経済的弱者層に食事を提供する団体も、にわかに増えた食材費に負担を感じている。ソウル鍾路区(チョンノグ)のタプコル公園脇の「円覚寺無料給食所」のコ・ヨンベ事務局長は、「食材にかかるコストが月1800万ウォン(約180万円)から2000万ウォン(約200万円)程度に11%ほど増えた」とし、「ガス代や電気代まで上がった上、コロナと物価上昇で寄付金も減った」と話した。清凉里(チョンリャンリ)駅一帯で無料給食事業を運営しているタイル共同体のパク・ジョンボム対外協力室長は、「一食に配食費が3500ウォン(約350円)から、最近の物価上昇とコロナによる弁当容器の費用などで1000ウォン以上上がったが、金額が累積して負担になる」と話した。京畿道のある地域児童センターの関係者は、「加工食品、野菜、果物、コメ価格が値上がりし、毎朝買い物をするたびに戸惑う。限られた予算に合わせるために、果物を入れる回数を減らしたり、国産を輸入産に替えるなど、子どもたちの給食の質が低下せざるを得ない」と話した。鐘路区で無料給食事業を行う社団法人タナの僧侶、タンギョンさんも、「物価が上がって、僧侶やボランティアが物を買うときに、数時間インターネットを検索して『最低価格探し』に必死になっている」と話した。

 学生や社会的弱者層が主に訪れる食堂なども価格を引き上げている。ソウル冠岳区新林洞(クァナック・シンリムドン)で6年にわたり安価食堂を営んでいるYさん(62)は、「最近1食当たり500ウォン(50円)、10食分の食券は1食当たり300ウォン(30円)ずつ上げた」とし、「物価上昇が激しくて、ぎりぎりまで耐えた末に値段を上げたが、今年はもっと値上がりして赤字だ」と話した。冠岳区で8年にわたり中華料理店を営んでいるKさん(63)は、「小麦粉と食用油などが上がりすぎて負担が大きい。安いから来る食堂なので、値上げが負担になり、ひとまず様子をうかがっている」と話した。大学の学生食堂の価格も上がった。ソウル大学に在学中のLさん(25)は、「学校や安い食堂で主に昼食をとるが、最近物価が上がったことを体感する。学食は4000ウォンだったメニューが6000ウォンまで上がるなど、気軽に食べていた学食まで悩んで選ばなきゃならない状況になった」と話した。

6日、ソウル冠岳区新林洞のある安価食堂に値上げの案内文が貼られている=コ・ビョンチャン記者//ハンギョレ新聞社
キム・ユンジュ、パク・チヨン、コ・ビョンチャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1037865.html韓国語原文入力:2022-04-0707:27
訳C.M

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