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建設労働者の焼身自殺から50日…労組・政府関係の対立はより極端な構図に=韓国

登録:2023-06-26 06:42 修正:2023-07-01 07:18
「強硬鎮圧対退陣デモ」悪化の一途をたどる
21日午前、メーデーの日に焼身自殺した建設労働者のヤン・フェドンさんの葬儀の列が、ソウル大学病院葬儀場で出棺ミサを終えた後、路祭の開かれるソウル西大門区警察庁に向かって移動している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「建暴(建設労組を暴力集団と表現した新造語)攻撃」に抗議してメーデーの日に焼身自殺した建設労働者の故ヤン・フェドンさんは、結局政府から謝罪を受けることなく、21日に出棺が執り行われた。ヤンさんが亡くなって50日目。その50日の間、政府は謝罪を要求する労組の集会を「強硬鎮圧」し、労組は「政府退陣闘争」で対抗して、労政関係は最悪に突き進む様相だ。

 民主労総建設労組は17日から5日間行われたヤンさんの労働市民社会葬を終え、この日午前、ソウル大学病院葬儀場で出棺ミサを行なった。続いて午前11時に西大門区(ソデムング)の警察庁前で路祭(路上で行う祭祀の儀式)を、午後1時に光化門(クァンファムン)の東和免税店前で告別式を行った。

 政府・与党はヤンさんの葬儀最終日までついに謝罪しなかった。むしろこれまでの労組に対する政府の強硬基調をあおり立てた。与党「国民の力」のキム・ギヒョン代表は20日、国会本会議の交渉団体代表演説で「尹錫悦政権になって『建暴』が止まった。建設現場の風通しが良くなり、工事現場がうまくいっている」と主張した。さらにウォン・ヒリョン国土交通部長官は先月17日、自身のフェイスブックに、ヤンさんと一緒にいた建設労組幹部が焼身自殺をほう助したという朝鮮日報の報道について「ひょっとして同僚の死を闘争の動力として利用しようとしたのではないか、疑問に思わずにはいられない」と書き込み、陰謀論に加担した。

 政府と労組の衝突は肉弾戦に飛び火する様相だ。これまで労組の会計公開など制度的攻撃に集中してきた政府は、ついに先月、建設労組の2日間にかけての集会を契機に集会・デモに対する「強硬鎮圧」態勢に切り替えた。警察はこの集会を不法とみなし、続いて開かれた「非正規職、もうなくそう」共同闘争の2日間集会を強制解散させるなど、物理的衝突が起きた。警察は先の建設労組集会と関連集会およびデモに関する法違反でチャン・オッキ建設労組委員長などに出頭を要求した状態だ。

 このような状況で、韓国労総金属労連のキム・ジュニョン事務処長に対する警察の流血鎮圧は必然的な結果だった。警察は先月31日、全羅南道光陽(クァンヤン)製鉄所で高空立てこもりをしていたキム事務処長に対し、頭をこん棒で何度も殴って引きずり下ろした。こうした警察の過剰鎮圧にもかかわらず、キム事務処長は翌日、特殊公務執行妨害致傷などの容疑で拘束され、21日には最低賃金委員会の労働委員から解嘱された。

 政労使の唯一の対話の場であった経済社会労働委員会の窓口まで閉ざされた。労働界代表として唯一参加していた韓国労総が、7日に経済社会労働委員会への全面不参加を宣言してからだ。労働市場の二重構造、労働時間改編など議論しなければならない懸案は山積みだが、経済社会労働委員会が再稼動する可能性はなさそうだ。大統領室の主要な関係者は8日、「経済社会労働委員会維持のために労働政策の原則を変えることはしない」とし、強硬基調を再確認した。

 悪化の一途をたどる労政関係は破綻に突き進むもようだ。民主労総と韓国労総はそれぞれ、ヤン・フェドンさんの焼身抗議自殺、キム事務処長の流血鎮圧により、「政府退陣闘争」を全面化した。さらに民主労総は7月の2週間一斉ストを予告しており、今後、労組と政府が衝突する可能性がある。イ・ビョンフン中央大学教授(社会学)もハンギョレの電話インタビューで「現在のところは政府が労組と対話をしようという動きは全くないようだ。むしろ労組が7月の一斉ストなどを予告した状況で、労組に対する政府のさらなる圧迫が続きかねない」とし、「今よりもっと極端な対決構図があらわになるだろう」と話した。

キム・ヘジョン記者(お問い合わせjapan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1096989.html韓国語原文入力:2023-06-25 11:57
訳A.K

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