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「『気候悪党』韓国、途上国に対し330兆円以上の補償責任あり」

登録:2023-06-07 04:04 修正:2023-06-07 09:24
「ネイチャー・サステナビリティー」に発表の論文 
研究チーム、途上国に対する「気候補償金」設計 
「1.5度目標を守るためには先進国が 
2050年までに170兆ドルの補償金を支払うべき」
昨年7月、大洪水が発生したパキスタンのカラチで、ある男性がバイクに乗っている=カラチ/EPA・聯合ニュース

 温室効果ガスを過度に排出した先進諸国は2050年までに170兆ドルの気候補償金を発展途上国に支払うべきだとする研究結果が発表された。現在、炭素排出量が世界で10位以内の韓国が支払うべき気候補償金の予想額も3105兆ウォン(約332兆円)とされた。

 英国リーズ大学持続可能性研究所のアンドリュー・ファニング研究員ら英国とスペイン出身の研究チームは5日(現地時間)、「ネイチャー・サステナビリティー」に発表した論文で、先進諸国は年間約6兆ドルにのぼる補償金を発展途上国に支給しなければならないとの結果が出たと明らかにした。

 研究チームは地球の大気を世界の人々が公平に分け合う「共有物」と仮定し、全世界168カ国の人口を反映して1人が排出できる温室効果ガスを割り当てるというやり方で気候補償システムを設計した。そして1960年以降に各国が「炭素予算(カーボンバジェット)」を自国に割り当てられた量よりどれだけ多く、あるいは少なく使用したかを計算した。ここで炭素予算とは、産業化前と比べて地球の平均気温上昇幅を1.5度以下に抑えるという目標を守るために人類が排出を許容される炭素量のこと。大半の発展途上国の使用量は割り当て量より少ないが、米国、欧州連合(EU)諸国、カナダ、日本などの先進国は割り当て量を超過していた。

 その結果、世界168カ国中、米国、ロシアなど67カ国が気候補償金を支払うべき国に分類された。米国が負担すべき金額は80兆ドルで最も多かった。ロシア、日本、ドイツ、英国がそれに続き、韓国は2兆7000億ドルで13位。2050年までに全ての国が炭素中立(カーボンニュートラル)を達成するとともに「1.5度目標」を守るために先進国が支払うべき補償額は、170兆ドルに達した。

 一方でインド、中国、ナイジェリア、パキスタンなどを含む101カ国は、気候補償金を受け取るべき国に分類された。中国は現在、温室効果ガスの最大排出国だが、人口が多いため1人当たりの排出量が少なく、炭素予算の割り当て量が余っているため補償を受け取る資格を持つ。

 研究チームは「1960年から大気中の二酸化炭素についての科学的理解が進むとともに、化石燃料による地球の温度の上昇が認識されだしたため、これを出発点として温室効果ガス排出量を測定するのが合理的だと考えた」とし、「1850年を基準とすれば、米国などの先進国が負担すべき金額はさらに増える」と説明した。

 世界各国は昨年エジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、気候変動に対する責任が軽いにもかかわらず大きな被害を受けている発展途上国の「損失と被害」に対して支援するための「気候基金」を創設することで合意している。しかし、先進国の責任の範囲や分担比率などの具体的な内容については合意できていない。

 研究チームは、今回の研究結果が発展途上国の損失と被害に対する補償の一つの方法論になりうると期待している。研究に参加したファニング研究員は、リーズ大学の報道資料で「気候を不安定にする温室効果ガスの超過排出に対して何の責任もない一部の国に、早く経済を脱炭素化するよう要求するのは、気候正義に反する」、「むしろこれらの国は不公正な負担に対して補償を受けるべきだ」と語った。

ナム・ジョンヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1094795.html韓国語原文入力:2023-06-06 16:50
訳D.K

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