本文に移動

韓国最高裁「『2015年韓日慰安婦合意』交渉文書の非公開は正当」

登録:2023-06-02 06:28 修正:2023-06-02 07:42
2015年12月28日午後、ユン・ビョンセ外交部長官(右)と日本の岸田文雄外相がソウル世宗路の政府ソウル庁舎別館(外交部庁舎)で慰安婦問題に関する会談を終えた後、共同記者会見を行っている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 2015年12月28日に韓国と日本が発表した「慰安婦合意」に関する交渉文書を公開しないのは正当だとする最高裁の判決が下された。

 最高裁判所3部(主審:イ・フング判事)は1日、「民主社会のための弁護士会(民弁)」所属のソン・ギホ弁護士が外交部を相手取って起こした情報非公開処分取り消し訴訟で、原告敗訴とした原審を確定した。最高裁は「原審の判断は正当であり、情報公開法が定めた非公開対象情報などに関する法理を誤解した誤りはない」として上告を棄却した。

 朴槿恵(パク・クネ)政権時代のユン・ビョンセ外交部長官は、日本の岸田文雄外相(当時)と外相会談を行い、2015年12月28日に合意文を共同で発表した。日本軍「慰安婦」問題に軍が関与したことを日本政府が認め、岸田外相が安倍首相の謝罪を代読した。そして両国は、日本軍「慰安婦」問題は最終的・不可逆的に終結したと宣言した。

 ソン弁護士は、2014年4月の韓日局長級協議の開始から共同発表文が発表されるまでの間に両国が協議した交渉に関する文書を一部公開するよう求める情報公開請求訴訟を起こした。公開を要求した文書は、韓日共同発表に向けた交渉文書のうち、「軍の関与」という用語を選択した意味▽強制連行を認めたかどうか▽「性奴隷」「日本軍慰安婦」などの用語問題およびその使用について協議した内容など。

 一審と二審の判決は真逆だった。一審は「外交分野の特殊性を考慮しても、情報の非公開によって保護される国の利益は国民の知る権利より大きくない」として、原告勝訴の判決を下した。そして12回にわたる韓日局長級協議の全文と、非公開で行われた2回の同協議の全文を公開せよと述べた。しかし二審は「情報が公開されれば、日本側の立場に関する内容が日本の同意なしにあらわになることで、外交の信頼関係が深刻な打撃を受けるだけでなく、両国間の利害関係の衝突や外交関係の緊張を招きうる」として一審を覆し、原告敗訴の判決を下した。情報公開法は「国家安全保障・国防・統一・外交関係などに関する事項として公開される場合、国の重大な利益を顕著に害する恐れがあると認められる情報」は非公開にできると規定する。二審の判決が最高裁でそのまま確定したかたちだ。

 最高裁の関係者は「日本軍慰安婦被害者合意は外交部が日本政府と進めた交渉の結果」だとし「非公開で行われた外交交渉の内容を非公開とすることで得られる利益の方が、これを公開することで得られる利益より大きいと判断した原審(二審)の判断を受け入れたもの」と説明した。

 ソン弁護士は「強制連行を認めたかどうかや、『性奴隷』などの用語の使用などに限って交渉文書の公開を要請したにもかかわらず、単に外交関係だとの理由で非公開処分を下したのは、司法府が過度に消極的に判断したもの」と批判した。同氏は「日本政府は2019年にすでに『性奴隷は事実に反するということを韓国側が確認した』とする内容を盛り込んだ外交青書を公開している」とし「日本の外交青書の内容が事実かどうかを確認する情報公開請求を、改めて外交部を相手取って起こす」と付け加えた。

チョン・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1094204.html韓国語原文入力:2023-06-01 13:50
訳D.K

関連記事