尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が7日、慶尚南道梁山市(ヤンサンシ)の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の私邸周辺で繰り広げられている保守団体の「罵詈雑言デモ」について、「大統領執務室のデモも許可されている状況なので、法に則ってやればいいのではないか」と述べた。公的空間である大統領室前の集会と、私的空間である前大統領の私邸前の集会を同一線上に置き、「法に則って(対処)」せよと強調したのだ。
尹大統領はこの日午前、龍山(ヨンサン)の大統領室への出勤途中、記者からの「文前大統領の私邸で起きている保守団体のデモをどう考えるか」との質問に、上記のように答えた。一部の極右団体は、文氏が梁山の平山村(ピョンサンマウル)に定着した先月10日から、拡声器などを使って「罵詈雑言デモ」を行っている。文氏側は、彼らを侮辱および虚偽事実適示による名誉毀損などの疑いで警察に告訴した。
大統領室は、尹大統領が過激なデモを憂慮し自制してほしいという意思を示したという6日付の「中央日報」の報道に関しても「事実と異なる」と否定した。大統領室関係者は「秘書室長と首席らとのティータイムの席でその問題が話されたことはあったが、別途会議を開いたり、大統領室の立場をまとめたり、大統領の意中を確認したりするような手続きはなかった」とし、「集会結社の自由は民主主義社会で基本権中の基本権だ。任意に抑制することはできないと考えており、集会の基準に合うなら集会は行える」と述べた。
同関係者は、「(尹大統領は)すでに一部の(梁山の保守団体の)デモ参加者は告訴されているため、集会過程で違法行為があるとか、許可範囲を超えるなどの行為があれば、当然法に則って処罰を受けるという原則を述べたのではないか」と付け加えた。
しかし尹大統領の発言は、大統領室という公的空間と退任した大統領の私邸という私的空間を区分せず、ヘイトに基づく「罵詈雑言デモ」を事実上放置しているという指摘もある。明知大学のシン・ユル教授(政治外交学)は、「尹大統領が表現の自由を梁山のデモと結びつけたのは、やや不適切に思える。デモの状況をきちんと把握せず発言したようだ」と述べた。
共に民主党のチョ・オソプ報道担当は「保守団体のデモは他人の人生を破壊する暴力的で非人道的なテロであり、これを容認する尹大統領の発言は度量の小ささの至りだ」とし、「デモを煽るものであり、これを制止しなければならない警察にも良くないシグナルを送った」と述べた。