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貨物連帯、苦渋のスト撤回…「韓国政府の暴力的弾圧、職場を破壊」

登録:2022-12-10 01:50 修正:2022-12-10 10:51
「安全運賃制、脅迫手段へと転落 
施行期限3年延長の約束を守れ」 
政府、原点から再検討の立場を固守
民主労総全国公共運輸社会サービス労組貨物連帯本部がストを終了し、現場復帰を決めた9日午後、京畿道義王市の内陸コンテナ基地(ICD)前で、関係者が道路に止めてあったトラックにかかっていた横断幕をはずしている/聯合ニュース

 安全運賃制のサンセット方式(制度の施行に期限を設ける制度)の廃止と安全運賃制の品目拡大を求めて、16日間にわたりストライキを続けてきた民主労総公共運輸労組貨物連帯本部(貨物連帯)は9日、ストを撤回し、現場に復帰した。対話の扉は閉じ、強硬対応ばかりの政府の態度によって、最悪の場合は安全運賃制が廃止されかねないという不安が作用したと分析される。

 貨物連帯の復帰にもかかわらず、政府与党は安全運賃制の「3年延長」より後退した「原点からの再検討」の立場を固守しているため、制度施行の終了を今月末に控えた安全運賃制をめぐる対立は続くとみられる。

 貨物連帯は9日、「全面スト終了をめぐる組合員投票の結果、過半数の賛成で全面ストの終了および現場復帰の件が可決された」と発表した。貨物連帯は8日、緊急の中央執行委員会でスト継続の是非を組合員総投票に付すことを決め、9日午前9時から11時10分まで16の地域本部で組合員総投票を実施した。

 2万6144人の組合員中3575人(13.67%)が投票し、2211人(61.84%)がスト終了に賛成、1343人(37.55%)が反対した。過半数以上が賛成したことにより、貨物連帯は全面ストを終了して現場に復帰した。

 貨物連帯は声明を発表し、その中で「政府与党の暴力的な弾圧によって我々の職場が破壊され、我々の仲間が苦しめられる様子を、これ以上見ていることができず、本日ストの撤回と現場復帰を決めた」と述べた。

 6月の8日間の全面ストに続く11月からの16日間のストにより、貨物連帯は全面ストを続けることに負担を感じたとみられる。ストで組合員の収入が途絶えたうえに、史上初の業務開始命令の発動や公正取引委員会による調査などの強い圧力を受け続けたためだ。

 決定的な契機は民主党の立場の変化だった。貨物連帯の関係者はこの日、本紙の電話取材に対し「(8日に)共に民主党が政府与党案である『品目拡大なき施行期間の3年延長』案を受け入れると発表したことも、ストを続けるのは困難と判断した原因のひとつ」だと明らかにした。

 当初、貨物連帯の要求と同じ法案(サンセット方式の廃止、5品目拡大)を上程した民主党は8日、従来の立場を撤回し、政府与党の「3年延長案」を受け入れると明らかにしている。民主党はこの日、正義党と共に国会国土交通委員会交通小委と全体会議を相次いで開き「品目拡大なき日没3年延長案」を処理した。

 このかん政府与党は貨物連帯に対し「まず復帰、それから対話」との立場を表明してきた。しかし現在の状況では、貨物連帯が対話のテーブルにつけるか、「3年延長」が守られるのかも断言できない。前日に大統領室が「貨物連帯がストを続けた以上、すでに提示している『3年延長』は議論の出発点ではない」との立場を明らかにしたためだ。国民の力が単独処理を問題視して法制司法委員会での法案処理に応じなければ、「サンセット方式3年延長」は国会で可決できず、安全運賃制は今月末に施行期間が終了する。

 ストを終えた貨物連帯は政府与党に対し、「3年延長」の約束を守ることを求めた。貨物連帯は政府与党による安全運賃制の「原点からの再検討」方針に対して「安全運賃制の施行期限の3年延長で約束(6月のスト終了時の合意)を守ったと大言壮語しておきながら、今になって『貨物連帯がストを行ったのだから安全運賃制も延長はない』と前言をひるがえした」とし「安全運賃制廃止を貨物労働者を脅す刃にし、恩恵的に与えて気に入らなければ奪う手段へと転落させている」と批判した。そして「安全運賃制は貨物労働者の生存と国民の安全を守り、物流産業の長期的発展を作っていくための制度」だとし、「安全運賃制の持続、拡大を目指す歩みは決してやめない」と述べた。

パク・テウ、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1070964.html韓国語原文入力:2022-12-09 15:51
訳D.K

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