韓国政府が8日、民主労総全国公共運輸社会サービス労働組合・貨物連帯本部(貨物連帯)所属の鉄鋼・石油化学分野の貨物運送労働者にも業務開始命令を下した。野党が同日受け入れる方針を示した政府案(品目拡大のない安全運賃制3年延長)も撤回した。政府が「対話の扉」を閉めて「全面降伏」を求める中、貨物連帯はストライキの撤回の可否をめぐり夜遅くまで会議した末、9日午前、これを組合員総投票に付すことにした。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同日、鉄鋼・石油化学分野の業務開始命令を裁可した。 これに先立ち、ハン・ドクス首相は政府ソウル庁舎で臨時国務会議を開き、追加の業務開始命令の案件を審議・議決した。対象者は鉄鋼約6000人、石油化学約4500人など約1万人の規模だ。ハン首相は会議で「鉄鋼・石油化学製品の出荷に支障をきたせば、それは直ちに自動車や造船、半導体など主要産業にも拡大し、韓国経済全般の危機に広がる恐れがある」とし、「貨物連帯の自発的復帰を待ち続けるには私たちの前に置かれた状況が非常に緊迫で厳しい」と述べた。
野党の「共に民主党」は同日、政府が追加した業務開始命令の後、当初政府与党が提案した「品目拡大のない安全運賃制3年延長案」を受け入れる意向を示し、仲裁を試みたが、大統領室は「何事もなかったかのようにストライキ前の状況に戻るわけにはいかない」として、「条件のない復帰」を求めた。政府与党は先月22日、緊急協議会で「安全運賃制3年延長案」に同意したが、貨物連帯がすでにストライキに突入した以上、「条件のない復帰」が行われない限り、政労交渉はできないという立場を示している。大統領室高官は同日、本紙の取材に対し、「貨物連帯の運送拒否でこれまで発生した4兆ウォン(約4100億円)の被害などは、いかに責任を負うのか」とし、「何事もなかったように戻り、(安全運賃制の)3年延長を手にするというのは言語道断」だと批判した。大統領室の主要関係者も同日、ソウル龍山(ヨンサン)大統領室で記者団に対し、「対話は業務に復帰してから」だとし、「復帰にはいかなる前提条件も認められない。復帰すれば、いくらでも対話テーブルを開けることができる」と語った。与党「国民の力」も「貨物連帯が何の条件も掲げず、早急に業務に復帰するまでは、いかなる議論も妥協もできない」(ヤン・クムヒ首席報道担当)と述べ、強硬基調を確認した。
貨物連帯は同日午後6時頃から民主労総大田(テジョン)地域本部で緊急中央執行委員会会議を開き、9日午前、ストライキの持続と撤回の可否を全体組合員に問う総投票を実施すると発表した。貨物連帯のイ・ボンジュ委員長は会議後のブリーフィングで「組合員の被害を最小化し、強硬弾圧を貫く政府の態度変化を促すため、難しい決定を下した」と述べた。投票の結果は昼食頃に発表する計画だ。イ委員長は「負けたとは思っていない。あまりにも政府の対応が強硬すぎて仕方なかった」と語った。