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[梨泰院惨事]「大統領の引っ越し祝いには行くのになぜ遺族は無視するのか」

登録:2022-12-02 03:58 修正:2022-12-02 07:46
梨泰院惨事国政調査特別委員会の委員、遺族と初会合 
与党の特調委員は不参加、政府の無責任に糾弾相次ぐ
1日午後、国会で行われた龍山梨泰院惨事の真相究明と再発防止のための国政調査特別委員会と遺族の懇談会で、遺族がひざまずいて真実究明を訴えている/聯合ニュース

 「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の私邸の引っ越し祝いには出席しておいて、なぜ私たちは無視するのですか」

 1日、国会梨泰院(イテウォン)惨事国政調査特別委員会の会議室で行われた委員と遺族の懇談会。梨泰院惨事で犠牲になった故イ・ジハンさんの父親イ・ジョンチョルさんは、向かいの空席を見つめながらこのように語った。惨事の67人の犠牲者の遺族が集まった「遺族協議会準備会」の要請により設けられた国政調査特委の委員たちとの初の顔合わせの席が、国民の力のボイコットで「中途半端」なかたちとなったことを批判したのだ。イさんは震える声で「これが常識なのか。これは我々にとっては人の道を外れるものだ」と述べた。

 共に民主党、正義党、基本所得党の野党3党の委員のみが出席する中で行われたこの日の懇談会で遺族たちは、政府与党が非協力的なため、きちんとした真相究明と責任者に対する問責がなされるのか、懸念を表明した。イさんは、「(大統領室に)面会申請をしてから1カ月近くになる。大統領室から受け取ったというショートメッセージは来たが、さっぱり連絡がない。なぜ私たちにこのような試練を与えるのか」と語った。イさんは席を離れてひざまずき、「国民の力のチョン・ジンソク非常対策委員長、チュ・ホヨン院内代表、真実を明らかにしてください。こうして頼んでいる。どうかお願いしたい」と泣きながら訴えた。この日同席した10人あまりの遺族は、イさんの訴えを聞きながら共にすすり泣いた。

 イさんは、イ・サンミン行政安全部長官ら責任者の問責に消極的な政界をまとめて批判した。尹錫悦大統領に対しては、「イ・サンミン行政安全部長官をいたわり、かばっている。警察の特別捜査本部に間接的に圧力をかけているのではないか」とし「この人物は自分の側だから、身の振り方をよく考えろ(という意味ではないか)、これが公正と常識なのか」と語った。野党に対しても「イ・サンミン長官を罷免することに政争の素地があるのか」とし「民主党議員のみなさん、あなたたちも同じだ」と語った。

 政府が遺族同士の連帯を妨げているという不満の声もあがった。犠牲者の故チェ・ミンソクさんの母親は、「(遺族同士で)会ってはいけないのか。なぜ遺族名簿がないと嘘をつくのか」とし「なぜ(遺族名簿を)隠そうとしたのか、隠せると思って隠したのか明らかにせよ」と述べた。また、政府が国家哀悼期間中に位牌と遺影のない焼香所を設けたことについても「遺族の弔問をなぜそのような形式にしたのか」とし「そのような弔問はどこから誰の考えで出てきた形式だったのか知りたい」と語った。

 徹底した真相究明を要求する声も相次いだ。パク・カヨンさんの母親チェ・ソンミさんは「セウォル号では真相究明ときちんとした関係者処罰がなかったため、再発防止対策が出なかった。だから私たちの子どもたちが犠牲になった」とし「私はセウォル号の母親の手を握って月日が薬になる(時間が立てば癒される)と言ったが、あのように慰めてはいけなかった。国民のみなさんが最後まで怒り、最後まで政府のすることを見守ってはじめて、残された子どもたちが生きていける世の中になる」と訴えた。

 遺族たちは子に先立たれた悲しみを隠せなかった。ある遺族は「今の体の状態では何もできない。食べていなくても空腹にならない。もともと熱いものは全く食べられなかったが、今はお湯だけがのどを通る。このように胸が痛む出来事は誰にも経験してほしくない」と語った。

 遺族たちはこの日、梨泰院国調特委に対し、国会内への追悼空間の設置▽国政調査期間中の国会内での遺族と意思疎通をはかる空間の設置▽遺族の推薦する専門委員や専門家の予備調査への参加▽国政調査の進捗経過の説明▽調査開始前の遺族の発言機会の保障および遺族の証人採択・陳述機会の保障▽行政府および自治体の追悼空間設置時に一方的な場所選定をしないことなど、6つの要求事項を伝えた。国調特委の委員長を務めるウ・サンホ議員は、「委員の能力を最大限発揮し、遺族の切実な訴えと念願が実現できるよう努力し、約束する」と述べた。

シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1069855.html韓国語原文入力:2022-12-01 20:56
訳D.K

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