尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領による出勤時の取材対応の際に大統領室の秘書官と口論になった文化放送(MBC)記者に対して、オンライン上で脅迫が相次いだことを受け、現業メディア団体は尹大統領らの責任を追及しはじめた。尹大統領と与党による特定報道機関の「狙い撃ち」が、ジャーナリストに対する不当な攻撃につながっているという判断からだ。
放送記者連合会、全国言論労働組合、韓国記者協会、韓国PD連合会、韓国映像記者協会、韓国放送技術人連合会など現業メディア団体は23日、共同声明を発表し、その中で「尹錫悦政権の波状的な言論弾圧攻勢がついに、熱烈な支持者によるジャーナリストに対するテロと殺害脅迫につながりつつある」とし「(尹大統領の)卑語・暴言の報道に対する報復措置として取られた専用機搭乗からの排除、広告弾圧の試みなど、一連の事態の責任を報道機関に押し付けた大統領の発言が災いのもとだった」と述べた。
尹大統領は18日、出勤時の取材対応で「MBC記者の専用機搭乗からの排除」について問われ、大統領の憲法擁護責任に言及しつつ「MBCに対する専用機搭乗からの排除は、国家安保の核心軸である同盟関係を事実と異なるフェイクニュースで仲違いさせようとし、非常に悪意ある、そのような態度を示したため」だと主張した。
尹大統領が自らMBCに言及しつつ「フェイクニュース」、「仲違い」、「非常に悪意ある」という表現まで使って敵対的態度を示すとともに、与党議員までもがMBC攻撃に加わったことで、オンラインコミュニティやユーチューブなどではイ・ギジョン広報企画秘書官と舌戦を繰り広げたMBCのL記者に対する攻撃が相次いだ。
具体的に見ると、21日午前、極右系インターネットコミュニティ「日刊ベスト」には、当記者の身辺を脅かす文が掲載された。また大統領夫人のキム・ゴンヒ女史のファンクラブ会長を務めたカン・シンオプ弁護士は20日にユーチューブで「これは反逆」だと述べつつ、警護処に対して「騒動を起こしたMBC記者を制圧するか(頬を)叩くかせよ」などと発言したが、のちにこの発言を削除した。
メディア現業団体はこの日の声明で、「ロシアなどの独裁国家では、権力者が支持者を動員することは批判的なメディアを飼いならす手段として利用されており、国際的な非難にさらされている」とし、「このような中、就任演説から国連演説に至るまで口を開けば自由を叫んでいた尹錫悦政権において、政権勢力が特定の報道機関とジャーナリストを標的にして熱烈な支持者を扇動するのは嘆かわしい」と指摘した。
これらの団体は、今回の事態の責任は大統領室にあると強調しつつ、特定の報道機関とジャーナリストに対する不当な弾圧をやめるよう求めた。声明は「このような白色テロ脅迫がうごめいている責任は、明らかに尹錫悦政権の大統領室にある」とし「一言の謝罪で終わっていたはずのことを最後まで報道機関に責任転嫁し、言論の自由の毀損と弾圧で一貫しているうちに、とうとう熱烈な支持者たちによるテロ脅迫の動きまで招いた」と述べた。
そして尹大統領に対して「いくら特定の報道機関とジャーナリストを標的にして攻撃したとしても、言論の自由の破壊と放送掌握の試みは正当性が保たれるはずもなく、熱烈な支持者がうごめくほどに民意の離反は加速するだけだ」とし、「また、暴力とテロによる威嚇を繰り返す者は厳重に処罰し取り締まるという明確なメッセージを伝えるべきだ」と述べた。