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韓国野党第1党代表の最側近に拘束令状発行…イ代表の目前に迫る検察捜査

登録:2022-11-19 09:22 修正:2022-11-19 10:42
裁判所「証拠隠滅・逃亡の恐れあり」令状発付
共に民主党のチョン・ジンサン党代表室政務調整室長が18日午後、ソウル瑞草区のソウル中央地方裁判所で開かれた令状実質審査に出席している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 野党第1党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表の最側近であるチョン・ジンサン党代表室政務調整室長が拘束された。イ代表の最側近である民主研究院のキム・ヨン副院長およびチョン・ジンサン室長と民間事業者側が長きにわたり結託していたという不正の疑いを立証した後、これを「政治的共同体」という名でイ代表の法的責任に結びつけようとしている検察の捜査が、イ代表の目前に迫ってきた。

 ソウル中央地裁のキム・セヨン令状担当部長判事は19日深夜2時50分、特定犯罪加重処罰法の賄賂、腐敗防止法違反、不正処事後収賄、証拠隠滅教唆など4つの容疑で、検察が請求したチョン室長の拘束令状を発行した。キム部長判事は「証拠隠滅の恐れと逃亡の恐れがある」として、拘束捜査の必要性が認められると明らかにした。拘束前の被疑者審問(令状実質審査)を終えて京畿道義王(ウィワン)にあるソウル拘置所で待機していたチョン室長は、ただちに収監された。

 検察は、チョン室長が2013~2020年に大庄洞(テジャンドン)・慰礼(ウィレ)新都市開発の事業者選定などの対価として、民間事業者側と城南(ソンナム)都市開発公社のユ・ドンギュ元企画本部長から6回にわたり、1億4000万ウォン(約1500万円)を受けとったとして、拘束令状を請求した。また、大庄洞開発の収益428億ウォン(約45億円)を、民主研究院のキム・ヨン副院長(拘束起訴)およびユ元本部長とで分け合うことを約束する一方、昨年9月に検察の捜査が始まると、ユ元本部長に携帯電話を破棄するよう指示したという疑いも適用した。

 これに先立ち、捜査チームは15日に1回だけチョン室長を調査した後、翌日すぐに拘束令状を請求するスピード捜査を敢行した。検察が請求していたチャン室長の逮捕状を裁判所が棄却した事実が分かり、捜査がユ元本部長らの陳述だけに過度に依存しているというチョン室長側の反発があったが、検察は「十分かつ多様な人的・物的証拠を確保した」として、拘束令状発付に自身を持っていた。

 令状発付に捜査の命運をかけた検察は、拘束前被疑者審問で、弁護人側と激しい攻防を繰り広げた。特に、イ代表とチョン室長の「政治的共同体」関係がチョン室長の容疑とどのような関連があるのかを立証することに力を入れたという。午後2時に始まった審問は検察と弁護人側のいずれ話が長引き、たびたび攻防を繰り広げ、2回の休廷の末、夜10時10分まで8時間10分間行われた。2017年3月の朴槿恵(パク・クネ)元大統領(8時間42分)と2020年6月のサムスン電子のイ・ジェヨン副会長(当時)(8時間30分)の拘束前被疑者審問のときに近い時間だ。

 裁判所がチョン室長の拘束令状を発行し、大庄洞・慰礼新都市の民間事業者→ユ・ドンギュ元本部長→キム・ヨン副院長(拘束起訴)→チョン・ジンサン室長(拘束)→イ・ジェミョン代表と急ピッチで上昇する検察の捜査にさらに弾みがつくことになった。検察は、チョン室長の家宅捜索令状のなかでイ代表に100回ほど言及するなど、捜査の終着地がイ代表であることを隠さなかった。拘束令状にもイ代表の名前が繰り返し登場したという。検察は、大庄洞の開発収益428億ウォンのうち相当額を「イ・ジェミョン代表の大統領選挙資金のプール」とみている。検察は8日、もう1人の最側近であるキム・ヨン副院長を「イ・ジェミョン代表の大統領選挙資金8億4700万ウォン(約8900万円)」を受けとった疑いで拘束起訴することに成功した。

 捜査チームは「陳述だけで物証はない」とするイ代表側の防御論理をひとまず崩したことに、大きな意味を置いている。検察は、拘束捜査期間中にチョン室長を相手に、イ代表が大庄洞・慰礼新都市の民間事業者の選定過程などにどの程度介入したのか、最側近と民間事業者の間の癒着関係をどの程度まで認知していたのかなどを集中調査する予定だ。その後、城南市長時代のイ代表の背任容疑などに対する本格的な捜査に乗りだすものとみられる。

 検察出身のある弁護士は「イ代表の最側近であるキム・ヨン副院長を起訴し、チョン・ジンサン室長の身柄まで確保した検察の次のターゲットは、誰がみてもイ・ジェミョン代表だ。ただし、金を受け取ったとする2人の容疑とは違い、検察がイ代表まで捜査を続けていくためには、直接的な証拠が必要だ。野党第1党代表を狙った捜査には様々な議論のたねがつきまとい、政治的攻撃を受ければ致命的にならざるをえない。検察としては、堅固たる論理を積み上げなければならないだろう」と述べた。

 一方、1年にわたる拘束裁判を受けてきた大庄洞民間事業者のナム・ウク弁護士とキム・マンベ氏は、裁判所の決定により、21日と24日0時にそれぞれ釈放される。2人に先立ち、もう1人の拘束被告人だったユ・ドンギュ元本部長は、先月20日に釈放された。当時検察がユ元本部長の拘束の延長を強く要求しなかったという疑惑が広がり、「陳述協力」の対価ではないかとする議論が起きた。ユ・ドンギュ元本部長、ナム・ウク弁護士、キム・マンベ氏ら大庄洞の1次捜査で拘束起訴された人々が釈放され、その席を2次再捜査で拘束されたキム・ヨン副院長とチョン・ジンサン室長が占める状況になった。

ソン・ヒョンス記者、カン・ジェグ記者、チェ・ミニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1067938.html韓国語原文入力:2022-11-19 07:53
訳M.S

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