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台湾有事の際、在韓米軍を投入?…韓・中が戦う可能性排除できず

登録:2022-09-29 09:17 修正:2022-09-29 12:38
エイブラムス前在韓米軍司令官など 
「在韓米軍などの活用決定権は米国にある」 
専門家「活動範囲の統制機構が必要」
中国が先月5日のナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発し、台湾包囲訓練を行った際、在韓米軍のU2偵察機が台湾海峡近くに飛行したという。米軍U-2偵察機の飛行の様子=米空軍ホームページ//ハンギョレ新聞社

 米中対立の激化で両岸(中国と台湾)の緊張が高まる中、米国の元将軍と官僚がこの地域での武力衝突発生の場合は韓国に駐留する米軍を投入する可能性があると相次いで発言している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と国防部は、在韓米軍の最優先任務は北朝鮮の侵略抑止だとして可能性を一蹴しているが、望まない紛争に巻き込まれないためには、韓米間で在韓米軍の活動範囲を論議する制度的枠組みを設けるべきだという指摘が出ている。

 パトリック・ライダー米国防総省報道官は27日(現地時間)、定例ブリーフィングで、台湾有事の際の在韓米軍または韓国の介入に関する質問に対し「一般的に在韓米軍は依然として韓米同盟と韓国の主権を守り、域内の米国の国益を支援するための高レベルの準備態勢と強力な連合防衛態勢を維持することに専念している」とし、原則的な回答をした。

 しかし、元官僚の展望は、米政府の公式な立場とは異なる。昨年7月まで在韓米軍司令官を務めたロバート・エイブラムス氏は26日(現地時間)、米「ラジオ・フリー・アジア」(RFA)で、中国が台湾に侵攻した場合、在韓米軍の投入が「可能だ」と述べた。同氏は「在韓米軍所属兵力を含め、どのような兵力を活用するかを決めるのは米国だ」と説明した。韓米連合軍司令部作戦参謀出身のデビッド・マクスウェル氏(米民主主義守護財団シニア研究員)も今月1日、「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)で、台湾海峡で武力衝突が起きれば「米軍再配置の権限は米国にある」と強調し、イラク戦争、アフガニスタンのテロとの戦争などで一部の在韓米軍兵力が再配置された事例があったと述べた。

 米国の専門家らは、具体的に京畿道平沢(ピョンテク)と全羅北道群山(クンサン)にある米空軍が台湾に投入される可能性を予想している。この場合、在韓米軍基地は中国を牽制・攻撃する発進基地の役割を果たすことになる。中国が在韓米軍基地を報復攻撃すれば、韓米連合軍司令部に属する韓国軍が中国軍と戦う状況になりかねない。

 米国は戦後、韓国との協議なしに5回の在韓米軍削減・再配置に関する主要な政策を決定している。一方日本とは、極東事態(朝鮮半島・台湾)に在日米軍と日本が関与する危険を憂慮し、1961年から事前協議制度を設けている。

 ハンギョレ平和研究所長・平和ネットワーク代表のチョン・ウクシク氏は「2006年の韓米戦略的柔軟性合意の共同声明の内容を根拠に、韓国領土の在韓米軍基地を利用する米国の軍事力に対する主権的統制策を設けるべきだ」と主張した。共同声明には「米国は、韓国国民の意志と関係なく北東アジア地域の紛争に介入することはないという韓国の立場を尊重する」という内容が含まれている。

 国防部は28日、「在韓米軍の朝鮮半島外部への展開に対する韓米間の制度的協議の枠組みはあるのか」という本紙の取材に対し、「在韓米軍の兵力の縮小や増加といった戦力態勢の変化は重要懸案であり、韓米軍事当局は緊密に協力している」と答えた。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1060607.html韓国語原文入力:2022-09-29 08:21
訳C.M

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