尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、17日の就任100日記者会見で「国政運営を行うにあたり最も重要なのは、一にも二にも国民の意向」だとしたうえで、「今後、いっそう粉骨砕身する」と述べた。しかし、国内政治の懸案や外交・安全保障の懸案などへの回答を避け、具体的な解決策を示さず、中身がなかったという批判が出た。
尹大統領はこの日、龍山(ヨンサン)大統領室で行った記者会見の冒頭発言で、20分にわたり100日間の成果を並べた。尹大統領は「これまで国民の応援もあり、手厳しい叱責もあった」とし、「直面した国民の生活を最優先に考え、韓国経済の成長動力と未来の資産の確保のため、渾身の力を注ぐ」と述べた。尹大統領は「所得主導成長のような誤った経済政策の廃棄」「一方的な理念に基づく脱原発政策の廃棄」「弱体化した韓米同盟を正常化し、悪化した韓日関係の正常化を迅速に推進した」などを述べ、これまでの100日間で文在寅(ムン・ジェイン)政権の誤りを是正したという点を強調した。冒頭発言の時間は、全記者会見時間(54分)の37%を占めた。
尹大統領は、低い支持率や党の内紛、人事刷新などについては回答を避けた。南北や韓日関係問題についても、具体的な解決策を示すことはできなかった。
尹大統領は、「国政運営の支持率下落の原因を3点挙げてほしい」という質問には「3点申しあげることは難しい」としたうえで、「支持率自体よりも、民意を謙虚に受けとめることが重要だ」と述べた。与党「国民の力」のイ・ジュンソク前代表との対立については、「大統領として国民生活の安定と国民の安全に邁進していたので、他の政治家がどのような政治的発言をしたのか、十分に把握する機会はなかった」と述べた。尹大統領は先月、クォン・ソンドン院内代表に送ったショートメッセージで、イ前代表を「内部に銃を向けていた党代表」と呼んだ。人事刷新についても「局面転換や政治的な目的で行ってはならない」としたうえで、「少し時間が必要だ」と述べ、大規模な刷新の可能性を否定した。
南北問題について尹大統領は、「無理やりまたは力による現状変更はまったく望んでいない」と述べ、原則論を明らかにしたが、具体的な南北対話の提案はなかった。日帝強制徴用への賠償判決問題の解決策については、「日本が懸念する主権問題の衝突なしに、債権者が補償を受けられる策を深く考えている」とし、「韓日関係は、世界の安全保障上、サプライチェーンや経済安全保障の次元で緊密に協力しなければならない関係になったため、過去の問題については合理的な結論を導きだせると思う」と述べた。被害者中心主義より韓米日の安全保障協力の強化に重点を置いたのだ。
労使問題については、法治優先の態度を繰りかえし明らかにした。尹大統領は「法と原則という原則を、政府が労使問わず一貫して維持することが重要だ」とし、「対話と妥協をできる時間を与え、それでもうまくいかないという時は、法に従って処理するという文化が定着しなければならない」と述べた。
野党「共に民主党」のチョ・オソプ報道担当は「恥ずべき自画自賛にとどまり、実際の内容はなかった」と批判した。