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[社説]国民の信頼を得られなかった尹大統領の退行の100日

登録:2022-08-17 06:54 修正:2022-08-17 07:29
尹錫悦大統領が就任100日を翌日に控えた16日午前、ソウル龍山の大統領室庁舎に出勤し記者団と質疑応答をしている=大統領室通信写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が17日に就任100日を迎える。5月10日の就任式直後には過半数(52%、韓国ギャラップ)を記録した国政遂行への支持率は、わずか3カ月で半分になってしまった。初心者ドライバーの乱暴な運転に似た国政運営をみて、相当数の国民が落胆し信頼しなくなったということの傍証だ。「国民が真の主人である国」を作るという就任の辞の誓いは色あせてしまった。

 すべての状況は、尹大統領が自ら招いたものだ。政権発足当初の検察出身者に偏った人事や、「近しい人」中心の情実人事と不十分な検証に対して、批判的な世論が強かったが、気にしなかった。大統領夫妻と私的な縁があったり、「尹核関」(尹大統領の核心関係者)が推薦した人たちの大統領室への採用、「静かな内助」を約束した大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の公私の分別のない行動は、尹大統領に「公正と常識」の回復を期待した国民を失望させた。

 「祖国の平和的統一」という大統領の憲法的責務については、就任後90日を過ぎても何の言及もなく、8月15日の光復節祝辞で唐突に、北朝鮮に対する中途半端な提案を出した。「満5歳就学」政策の立案と推進、放棄の過程は、この政権が国を経営する能力を備えているのか疑問を抱かせた。何より、尹錫悦政権の国政ビジョンが何なのかが不明だ。

 もちろん、新政権が成果を出すためには、100日は短い時間なのかもしれない。しかし、国民が考える「指導者らしさ」を示すためには、十分な時間だ。現実はどうだったのか。陣営との対立にうんざりさせられている国民の意向とは反対に、尹大統領は統合と協力政治に対しては、意志さえまともに表明しなかった。ことあるごとに前政権のせいだとして、議会を無視した施行令統治に走った。国家的な災害状況のもとで、大統領の「在宅指示」がなぜ議論になるのかさえ分からない姿に国民が怒ったのは、当然な帰結だ。

 このような状況で、最大の責任がある人も、状況を打開できる人も、結局は尹大統領自身だ。しかし、尹大統領の考えは、全面的な刷新とはかけ離れているようにみえる。16日の出勤途中の略式会見では、「変化というものは、政治的な得失を問う問題ではないと思う」と述べ、大統領室も広報側に若干の体勢変化があるはずだと予告している。認識と国政の基本方針の大転換が切実だという要求を、「政治的得失」程度にしか感じていないのだ。しかも、与党「国民の力」は、党代表を追い出して非常対策委員会体制に転換した未曾有の事態の中心的な責任者であるクォン・ソンドン院内代表について、16日に「議員総会再信任」という要式行為により地位を守らせ、非常対策委員を兼職させた。この程度では、冷めてしまった国民の心が戻るかは疑問だ。

 尹大統領は、8日の夏休み後の最初の出勤時に「常に初心を守り、民意を敬う」と念押した。真の「初心」は、大統領選での票差0.73ポイントを思いだし、謙虚になることだ。大統領の一挙一動のために不安と戸惑いを感じさせられる国民的なストレスは、この100日で十分だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1054977.html韓国語原文入力:2022-08-17 02:40
訳M.S

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