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「1立方メートルの監獄」出た韓国の造船下請け労組幹部「人間らしく生きたい」(1)

登録:2022-07-25 04:50 修正:2022-07-25 08:35
大宇造船海洋下請け労働者の51日間のストの「象徴」 
造船下請け支会副支会長、病院で初のインタビュー 
「賃金の大幅引き上げはできなかったが、団体交渉は成果」
31日間にわたり1立方メートルの鉄製構造物の中に自らを閉じ込めて座り込みを続けてきた金属労組巨済・統営・固城造船下請け支会のユ・チェアン副支会長が23日午後、入院中の巨済市杜母洞の大宇病院で本紙のインタビューに応じている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 蒸し暑い夏、1立方メートル(0.3坪)の「手作りの監獄」に31日間にわたって自らを閉じ込めていた人がいる。「このまま生きていくわけにはいかないじゃありませんか」というプラカードとともに。178センチの長身を1立方メートルの中に押し込むと、首は曲がり膝と腰はずきずき傷んだ。自ら作って入ったのだが、本当の監獄より劣る環境だった。

 「久しぶりに体を伸ばしたのは気持ちが良かったんですが、奇妙なことに横になると痛いんです。休日なのでまだMRI(磁気共鳴画像)は撮れていないんですが、骨、関節、骨盤が痛いので横になったり座ったりしています。私の体のせいで組合員たちが闘争を早く終わらせ過ぎたのではないかという気がして、たいへん申し訳ない気持ちです」。1カ月ぶりに担架に乗せられて鉄製の構造物から出てきた民主労総所属の金属労組巨済(コジェ)・統営(トンヨン)・固城(コソン)造船下請け支会(造船下請け支会)のユ・チェアン副支会長は23日、慶尚南道巨済の大宇病院で、記者に対し、自分のせいで仲間たちが闘争をやめたようで申し訳ないと語った。「交渉妥結の知らせを聞いても信じませんでした。組合員総会が終わるまで信じませんでした。ご存知のように、とても残念な案件だったので…」

 22日、造船下請け支会と大宇造船海洋の下請け企業は、4.5%(企業平均)の賃上げ▽来年度の140万ウォン(約14万5000円)の賞与支給▽廃業した下請け企業の労働者の最優先雇用に努めること、などに合意した。政府による公権力投入圧力の中で、51日間の長いストライキが終わった瞬間だった。メディアは「法と原則」の勝利を語り、下請け労働者が事実上敗北したと評価する。今回のストの「象徴」だったユ副支会長が構造物の外へと出てくると、警察による業務妨害容疑の捜査と、元請け・下請け企業による損害賠償訴訟の圧力が彼を待っていた。本紙はユ副支会長に会い、ストを終えて新たな出発を準備する造船所の下請け労働者の話を聞いた。

経歴22年の溶接工の月給が207万ウォン

 「闘争!」 労使合意後、ユ副支会長が構造物の外に出てくると、100人あまりの組合員が大声でスローガンを叫びながら、目隠しの横断幕を上に高く広げた。彼の疲弊した姿がメディアのカメラに捉えられないようにするためだった。彼は構造物の外に出た瞬間を「涙」として記憶していた。「組合員たちの声を聞いて申し訳なくて泣きました。闘争をやめたくてやめたのではないわけですから。大宇造船海洋という元請けと大株主の産業銀行は22日になっても何の決断もしないし、政府は損害賠償訴訟こそ『法と原則』だという立場でした。とても悔しかった」。目隠しの幕を掲げた仲間たちも同じ気持ちだったのか、涙を流していた。

 ユ・チェアン副支会長と造船下請け支会の労働者たちは、6月2日から大宇造船海洋の下請け労働者の賃上げなどを要求してストを開始。造船不況後に悪化した大宇造船海洋の下請け労働者の処遇を改善するためだった。6月22日からユ副支会長は玉浦(オクポ)造船所第1ドックで建造中のタンカーの船底の鉄製の構造物に入って占拠座り込みを行い、6人の労働者は15メートルの高所で座り込みを始めた。船を作る「真の労働者」たちのストで、船舶建造作業が中断した。これまでにも造船業の元請け労働者のストライキはあったが、下請け労働者が船を造る作業すら阻みつつ、威力をもって闘ったのは初めてのことだった。

 2016年、大宇造船海洋の下請け労働者は大々的な賃金削減にあった。賞与の400%が基本給に算入されたことで「最低賃金引き上げがチャラに」なったほか、150%は完全に削減された。高さ30メートルの船舶に吊るされる危険できつい労働の対価は、5年前も今も時給1万ウォン前後(1次下請け企業の正社員の場合)だった。経歴22年の溶接工であるユ副支会長も、時給は1万350ウォン(約1070円)。2022年の最低賃金9160ウォン(約951円)をかろうじて超える金額だ。1カ月フルで働いて、各種の税を払えば、手もとに残るのは200万ウォンほど。1月の彼の給与明細に記された手取り額は207万5910ウォン(約21万6000円)。仲間たちが時給2万ウォン以上の陸上プラントや建設業へと転職したことで、残った人々の労働はよりいっそうきつくなった。

 ストのあいだ中「30%の賃上げ」を主張していたのもそのためだ。30%の賃上げは、当初削られた分の給与の原状回復だ。だが、賃上げ率はスト前に下請け企業が提案した「4.5%引き上げ」にとどまった。「非常に残念な合意です。それでも今回の闘いで大韓民国の造船所の下請け労働者の現実をみなさんに知ってもらう状況を作り出しました」。金属労組のユン・ジャンヒョク委員長もやはり23日の記者会見で「0.3坪という空間に自分自身を閉じ込めた31日間の姿は、造船下請け労働者の人生そのものだった。今回の闘争は、その人生を社会的問題へと拡散させたということに意味がある」と評価している。(2に続く)

巨済/シン・ダウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1052126.html韓国語原文入力:2022-07-24 15:34
訳D.K

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