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初の韓国型戦闘機KF-21飛翔…「米国から怒号」受けた空軍の屈辱から11年(1)

登録:2022-07-22 11:39 修正:2022-08-22 07:20
政治BAR_クォン・ヒョクチョルの「見えない安保」 

KF-21、初飛行に成功 
初飛行では離着陸など飛行の安定性を確認 
「第2次世界大戦のゼロ戦より遅い」は誤解
今月19日午後3時40分、KF-21試作機1号機が初の試験飛行のために慶尚南道泗川にある韓国航空宇宙産業(KAI)本社近くの空軍第3訓練飛行団の滑走路から離陸している=防衛事業庁提供//ハンギョレ新聞社

 2022年7月19日午後3時40分。空軍パイロットのアン・ジュンヒョン少佐は、韓国型戦闘機(KF‐21)「ポラメ」の操縦桿を引いた。KF-21は慶尚南道泗川(サチョン)の空軍第3訓練飛行団の滑走路をからひらりと舞い上がった。この日の離陸には「我々もついに追いついた」という意味がある。

 韓国型戦闘機事業開始から21年目にして初飛行に成功した韓国は、世界で8番目の超音速戦闘機の開発に近づいた。これまで超音速戦闘機を開発した国は、米国、ロシア、中国、日本、フランス、スウェーデン、欧州コンソーシアム(英国・ドイツ・イタリア・スペイン)のみ。初飛行の成功を機に、KF-21に対する疑問をQ&Aの形でまとめた。

文在寅大統領が昨年4月9日、慶尚南道泗川市の韓国航空宇宙産業(KAI)の固定翼棟で開かれた韓国型戦闘機「ポラメ(KF-21)」の試作機出庫式で記念演説を行っている/聯合ニュース

-昨年の試作機出庫式と今回の初飛行はどう違うのか。

 昨年4月9日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が参加した中で盛大に行われたKF-21試作機の出庫式を覚えている人々は、なぜ1年後になってようやく初飛行なのかと尋ねる。性能を試すために製作した機体である試作機は、これまで図面のみで存在した戦闘機を実物に作ったものだ。4月の試作機出庫式は、この試作機を工場から取り出して国民に公開した行事だ。試作機を作ってから、当初設計した性能が実際に出るのかを検証し、テストできる。この1年間、KF-21試作機6台で各種の性能、機体構造テストを行った。

 試作機は乗用車に例えれば、組み立てを終えて工場から出た、まだエンジンをかけていない状態の自動車だ。自動車のエンジンが正常にかかれば車が動き、各種装備が作動するように、戦闘機もエンジンがかかってこそ本来の性能を発揮する。KF-21は昨年4月9日の試作機出庫式から13日後の4月22日、最初のエンジン始動に成功した。最初のエンジン始動後、1年以上エンジンの出力を高めるテスト、機体が滑走路を高速で走る地上走行テストなどを経て、今月19日に初飛行に成功した。

 KF-21には3万個以上の部品が入る。また、22万個以上のリベットとボルト、7000個の構造物、550個の電子装備などが本来の性能を発揮するか確認するのに時間が必要だった。初飛行は終わりではなく始まりだ。初飛行を皮切りに、今後4年間で2200回ほどの飛行を通じて、各種性能と空対空武装適合性の確認などを終えれば、2026年から本格的な韓国型戦闘機の量産に入る。

-第2次世界大戦の日本軍戦闘機より遅い韓国型戦闘機という話もあるが。

 超音速戦闘機のKF-21の最高速度は、音速の1.8倍(時速2200キロ)だ。初飛行ではこれにははるかに及ばない時速約400キロで飛行した。日本のポータルサイトに掲載された本紙のKF-21初飛行の日本語版の記事に、「時速400キロはゼロ戦より遅い」とコメントがついた。ゼロ戦は第2次世界大戦時の日本軍の戦闘機で、最高速度は600キロ前後だ。しかし、このような反応は試験飛行の特性を知らないために出たものだ。

 19日のKF-21の初飛行は、離陸と着陸の性能確認に焦点を置いた。試作機の初飛行で最高速度を確認することはない。今後2200回ほど試験飛行を行うが、初期には離着陸のような航空機の安全性を確認することに力を注ぐ。以後、高度・速度・機動を順次高め、2026年頃に最終的に飛行性能と操縦特性を検証する予定だ。

19日午後、KF-21試作機1号機が慶尚南道泗川にある空軍第3訓練飛行団の滑走路から離陸し、初の試験飛行を行っている=防衛事業庁提供//ハンギョレ新聞社

-なぜ「アウディを買える金をかけて国産の大衆車を開発するのか」という話があるが。

 KF-21は、2001年8月に金大中(キム・デジュン)大統領が韓国型戦闘機(KF-X)事業を開始して以来、21年目にして初飛行に成功した。21年かかった理由は、技術開発の難しさだけでなく、7回の「事業妥当性調査」で6回も「妥当性がない」という結論が出たためだ。お金があまりにもかかるのに事業が成功するか不透明で、投入した費用に対し利潤を残せないという理由だった。事業妥当性があるという結論が出るのに9年がかかり、事業は進んだり止まったりを繰り返した。

 当初、軍と専門家の間では、韓国型戦闘機事業そのものに対する懐疑的な見方が多かった。このような主張を展開する側は、米国や欧州のような航空先進国ではない韓国が多額の費用と時間をかけてあえて戦闘機を作る必要はなく、すでに性能が検証された米戦闘機を購入した方が早くて安く安全だと判断した。韓国型戦闘機事業には「檀君以来の最大の兵器事業」という修飾語が常に付きまとう。開発費用だけで8兆8千億ウォン(約9242億円)がかかるためだ。この費用は第一線の部隊に配置する量産費用とは別だ。開発費用・期間・性能などを勘案すれば、韓国型戦闘機事業はコストパフォーマンスが低すぎるということだ。「性能の良いアウディを今すぐ買えるお金で、なぜ国産の大衆車を長期間かけて開発するのか」という不満は、軍内外から継続して出ていた。

 韓国型戦闘機事業は、30~40年前の古い戦闘機のF-4、F-5を変える事業という側面も強かった。事業が遅れ、F-4、F-5の墜落事故が相次いで発生し操縦士たちが死亡した。「いつ開発されて実戦配備されるか分からない韓国型戦闘機を待たずに、検証された米国の戦闘機を早く買ってくるべきだ」という主張も出続けていた。(2に続く)

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1051953.html韓国語原文入力:2022-07-22 07:15
訳C.M

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