大統領室が13日、「北朝鮮漁師の送還事件」を「反人倫的犯罪行為」と規定し、徹底した真相究明を強調した。国家情報院(国情院)の前・元国情院長告発、統一部の送還当時の写真公開に続き、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が事実上検察に強力な捜査を指示したことで、北朝鮮関連事件を素材に文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する粗探しが本格化するものとみられる。
カン・インソン報道官は同日のブリーフィングで、「脱北漁師が(北朝鮮側に)帰されないよう抵抗しもがく姿は『脱北して韓国に渡る意思が全くなかった』という文在寅政権の説明とはあまりにもかけ離れていた」とし、「自由と人権の普遍的価値を回復するために、この事件の真実を徹底的に究明する」と述べた。また、「もし韓国への亡命の意思を明らかにしたにもかかわらず、強制的に北朝鮮に送還したならば、これは国際法と憲法の両方に違反した反人道的、反人倫的犯罪行為だ。真相究明が必ず必要だ」と付け加えた。大統領室の主要関係者は「尹錫悦政権は国民の生命と安全を保護し、自由と人権の普遍的価値を重視する」とし、「前政権を狙ったり、報復するためではない」と述べた。しかし、西海(ソヘ)公務員殺害と北朝鮮漁師の送還事件を捜査しているソウル中央地検公共捜査1部と公共捜査3部は、捜索令状を取って国情院から資料の提出を受けるなど、大統領室の「真相究明」の意志と歩調を合わせた。
これに先立ち、文在寅政権は2019年11月、東海上に脱北した北朝鮮の船員2人を、拿捕から5日で板門店を通じて北に送還した。当時韓国政府は、彼らが船上での過酷行為に反発し船長など16人を殺害して脱北したものであり「韓国への亡命の理由を信用できない」として追放した。
野党は大統領室の真相究明要求に反発した。共に民主党のウ・サンホ非常対策委員長は「16人を殺害して韓国に逃げ出した凶悪犯を犯罪人引渡しのため(北朝鮮に)引き渡した」とし、「これを反人道的行為と規定するのは行き過ぎだ」と主張した。民主党西海公務員死亡事件タスクフォースの議員たちも同日、記者会見を開き「国民の力が前政権の粗探しのため、安全保障を人質にした政争を試みている」と批判した。