安倍晋三元首相が銃撃を受け死亡した事件に続き、参議院選挙で「改憲勢力」が圧勝するなど、日本の情勢が動揺し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の韓日関係改善の動きも影響を受けざるを得なくなった。政府は、韓日懸案に対する日本側の立場の変化がさらに難しくなった日本内部の状況を注視し、対応策に苦心している。
政府はまず、安倍元首相の弔問に礼遇を示した。パク・チン外交部長官が11日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の在韓日本大使館の公報文化院に設けられた焼香所を訪れ弔問した。前日、大統領室は「尹大統領が近いうちに在韓日本大使館側が用意した焼香所を訪れ、故・安倍元首相を弔問する予定」と明らかにした。尹大統領はまた、ハン・ドクス首相やキム・ソンハン国家安保室長、パク・チン外相、チョン・ジンソク国会副議長などで構成された弔問使節団を日本に派遣する予定だ。
政府は「韓日関係改善」を重ねて強調した。パク長官は弔問後、記者団に対して「韓日両国は民主主義と市場経済を共有する非常に重要な協力パートナー」だとし「韓日関係の回復が私たちの共同利益に符合するという信頼を持って、両国関係改善のために努力する」と述べた。同外相はこの日の定例記者会見でも「韓日関係改善のためにスピード感を持って努力を傾ける」と述べた。
しかし、日本が「弔問政局」に吸い込まれ、パク長官が韓日関係改善のために推進してきた訪日日程に支障が生じるのは避けられないようだ。パク長官は「確定したわけではないものの訪日日程を調整していたところだったが、安倍元首相の銃撃死亡という衝撃的なことが発生した」とし「相互の都合のよい時期に私が日本を訪問するなど、持続的に関連の努力をつくす予定」だと話した。
参議院選挙の結果による日本政府の内閣改造も8月中に行われる見通しだ。日本の政界が、当分の間は対外関係ではなく国内問題に集中せざるを得ないという意味だ。特に政権与党の自民・公明党とともに日本維新の会、国民民主党などいわゆる「改憲勢力」が、改憲案発議に必要な参議院議席の3分の2を越えた直後、岸田文雄首相が「できるだけ早く国民投票につなげたい」と述べたことも変化要因となり得る。約70年間維持されてきた平和主義の象徴である日本国憲法9条の改正論議が本格化すれば、韓日関係改善に悪材料になる可能性もあるからだ。
パク長官は「日本の国内政治問題については、私がなにかを述べるのは適切でない」とし「日本の国内政局状況については鋭意注視しながら、韓日関係改善のための努力を持続的に傾ける考え」だと話した。
日本側が関係改善の前提と主張してきた強制動員被害者賠償問題解決のための官民協議会も、スピード調整が必要とみられる。安倍元首相時代の強硬対外政策基調が当分は維持されるであろう状況で、中途半端な解決策作りはややもすると「条件のない譲歩」と映り、逆風を招く恐れがあるからだ。