3回目の死刑制度違憲審判を控えて「死刑制度の犯罪予防効果」についての分析を担当したソウル大学法学専門大学院のコ・ハクス教授は「死刑制度に犯罪抑止力があるかどうか結論を下すのは難しい」との意見を明らかにした。
8日の本紙の取材を総合すると、コ教授は8日、憲法裁判所に対し、死刑制度の威嚇力(犯罪抑止力)を分析した意見書を提出した。死刑制度を維持すべきだと主張する側は、死刑制度は将来に発生しうる凶悪犯罪を予防する効果があると主張するが、韓国ではこれに関してきちんとした分析がなされたことはほとんどない。そこで憲法裁は、法経済学の専門家であるコ教授を参考人に指名し、死刑制度の効果に関する意見を求めた。
コ教授が憲法裁に提出した20ページの意見書の結論は、「死刑制度が抑止力を発揮するかについて、一意的(一つの)結論を下すことは難しい」というもの。死刑制度の効果を分析できるほどデータが豊富ではなく、関連分析がなされてもいないため「死刑制度には効果がある」、「効果がない」というような結論を導き出すのは難しいという趣旨だ。
死刑制度に犯罪抑制力があるかどうかは、韓国より多くの研究が行われている米国でも明確な答えが出せていない。コ教授の分析によれば、米国の死刑制度に関する初期の研究資料である1961年のセリーヌの研究では「死刑制度の存在そのものは殺人犯罪を抑制できない」とみなしたが、1975年のアリークの研究は「死刑執行が殺人犯罪の抑制に肯定的影響を及ぼす」と述べた。しかし全米研究評議会(NRC)の1978年と2012年の報告書は、それぞれ「死刑制度と犯罪抑止力との関係について明確な政策的結論を下すことは困難だ」、「『仮釈放のない終身刑』など他の刑罰に比べて死刑制度にどれほどの抑止力があるのかについて、研究が行われるべき」などと、留保的な結論を下している。
これについてコ教授は「抑止力の作動原理は、潜在的な犯罪者に刑罰制度について十分に認識させ、犯罪を犯さないよう彼らを誘導することにある。だが実際にそのような抑止効果が働いたか否かについて把握するのは容易ではない」とし、「刑罰を恐れて犯罪を断念した集団、すなわち抑止効果が現れた集団に関するデータを確保することは不可能に近いため」と分析した。死刑を恐れて凶悪犯罪を「犯そうとしたがやめた」人々のデータを知ることはできないため、死刑の威嚇力を計量するのは容易ではないというわけだ。
憲法裁が自ら指名した参考人も死刑制度の効果に関して明確な結論が下せなかったことから、憲法裁は「韓国の憲法は死刑制度を認めていると考えるべきか」といった別の争点により集中して審理することになるものとみられる。憲法裁判所は14日に公開弁論を行い、憲法訴願請求人の代理人および法務部、参考人たちの意見を聴取する。