李明博(イ・ミョンバク)元大統領が28日、検察による刑執行停止決定により一時釈放されたことで、与党勢力が火をつけた李元大統領に対する光復節特別赦免論が表面化している。今月初めには尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が李元大統領の赦免の可能性をほのめかしているが、大統領室の内部でも特別赦免の検討が本格化するという話が出ている。
大統領室はこの日、李元大統領の一時釈放について公式の立場を示していない。李元大統領が健康上の理由で3日に刑執行停止を申請し、検察が審議を経てこれを受け入れたものであるため、大統領室が特に立場を表明する必要はないとの判断からだ。ただ、李元大統領の一時釈放を基点として赦免論議に拍車がかかる雰囲気がうかがわれる。
大統領室の幹部は「李元大統領の健康状態が良くないため、一時釈放を機として特別赦免する可能性が高いのではないか」と述べた。尹大統領も9日、龍山(ヨンサン)の大統領室への出勤途中の囲み取材で「20数年も収監生活をさせることは過去の例に照らして正しくないのではないか」とし、「李明博赦免」に傾いていることを示唆している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領による昨年のクリスマス特赦で4年9カ月の服役の末に赦免された朴槿恵(パク・クネ)元大統領と、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)両氏の赦免の前例を根拠とした発言だ。
尹大統領が李元大統領の赦免を決意した場合、契機は8月15日の光復節になるものと思われる。大統領室の関係者は「光復節特別赦免を検討するのではないか」と述べた。赦免対象には野党と財界の関係者も広く含まれる可能性が高い。国民統合と経済立て直しが大義名分とされるだろう。大統領室の関係者は「歴代政権の赦免の例を見れば、赦免そのものが統合のメッセージであるため、キム・ギョンス前慶尚南道知事らの赦免も苦心しそうだ」と述べた。大統領室がサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の赦免を検討しているものと知られており、与党周辺ではロッテグループのシン・ドンビン会長、富栄グループのイ・ジュングン会長、泰光グループのイ・ホジン前会長らも特別赦免・復権の対象として言及されている。
ただ、大統領室は李元大統領の赦免に対する否定的な世論などを考慮し、光復節特別赦免論議を公式化することには慎重になっている。大統領室の別の関係者は、「(赦免を要請する)法務部の上申が先ではないか」とし、「世論の推移を見ながら判断しなければならないと思う」と述べた。韓国ギャラップが14日から16日にかけて、全国の成人1000人に対して調査を実施したところ(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)、李元大統領を「赦免してはならない」とする回答は47%を占め、「赦免すべきだ」という意見(40%)より多かった。
文在寅政権時代から「李明博赦免」を求めていた国民の力のクォン・ソンドン院内代表は、「遅れたものの幸い」だとし、刑執行停止を歓迎した。同氏はフェイスブックへの投稿で「もう政界も陣営論理に沿った極限対決は控え、新たな未来を準備する道へと歩み出すべき」だとし、「李元大統領の快癒と平安を祈る」と述べた。正義党のイ・ドンヨン首席報道担当は「赦免権は大統領の固有の権限だが、司法正義と法治の実現に反しないよう、最小限に節制されるべきだ。そのために国民から委任された権限だ」とし、「赦免へとつながることには断固反対する」と述べた。キム・ギョンス前知事「同伴赦免論」が議論されている中、共に民主党は特に論評を発表していない。民主党の関係者は「健康の悪化を理由として一時的に刑執行が停止されるというものなので、あえて論評を出すのは適切でないというのが(党の)議論の結果だ」と語った。