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[社説]李明博元大統領の刑執行停止、「赦免」の足掛かりになってはならない

登録:2022-06-29 06:27 修正:2022-06-29 07:14
検察が28日、京畿道安養刑務所に服役中の李明博元大統領に対する3カ月の刑執行停止を決定した。写真は2021年2月10日、ソウル東部拘置所に収監中、基礎疾患の治療のために50日間ソウル鍾路区のソウル大学病院で治療を受けた李元大統領が退院する姿/聯合ニュース

 韓国検察が28日、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の刑執行を3カ月間停止することを決めた。収賄や横領などの疑いで懲役17年が確定し収監されてから、1年7カ月ぶりの釈放だ。李元大統領は2日に健康上の理由で刑執行停止を申請しており、検察は外部関係者が参加する審議委員会を開いて議論した末、これを受け入れた。李元大統領は先週からソウル大学病院に入院中だというが、詳しい健康状態は確認されていない。明確にすべきなのは、今回の刑執行停止決定が赦免に向けた足掛かりになってはならないという点だ。

 刑執行停止は収監生活で著しく健康を害したか、命の危険があるなど特別な事情がある時、人道的措置として収監者を釈放する制度にすぎない。該当事由がなくなれば、再び収監される一時的な釈放であり、刑罰自体を消滅させる赦免とは明確に異なる。赦免に内包された「赦し」の意味も全くない。

 李元大統領は2018年、検察の捜査を受けていたところ拘束され、約1年後に保釈された。2020年2月の2審宣告後に再拘束されたが、6日で再び保釈となった。同年、最高裁で刑が確定した後、11月から本格的な収監生活が始まっており、収監期間はこれまで約2年8カ月になる。懲役17年の重刑を言い渡されたのに比べれば、到底罪を償ったとは言えない。朴槿恵(パク・クネ)元大統領の4年9カ月よりも短い。その上、財産を隠した嘘で国民を騙して大統領に当選し、大統領在任中に賄賂を受け取って私利私欲を満たした李元大統領の罪質は、いまも多くの国民の怒りを買っている。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、大統領選候補時代から李元大統領の赦免に関して、アドバルーンを揚げてきた。9日には「過去の前例に照らして、20数年を収監するのは順当とは言えないのではないか」と、赦免を匂わせる発言までした。事実関係も合わない、中途半端な名分探しだ。尹大統領はソウル中央地検長として李元大統領の捜査と起訴を指揮した当事者でもある。当時検察は「被告人が犯した反憲法的行為に対する厳しい司法的断罪を通じて、無惨に崩壊した自由民主主義と法治主義の根幹を堅固に確立する必要がある」という点を求刑の理由として掲げた。尹大統領が今になって赦免を言及するのは、自己否定であるばかりだ。法治主義と正義、公正を語りたいなら、李元大統領の赦免を口にしてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1048862.html韓国語原文入力: 2022-06-29 02:38
訳H.J

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