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写真作品に見えますか?…「鳥類虐待」の現場です(1)

登録:2022-06-21 03:57 修正:2022-06-21 10:51
[アニマルピープル]ユン・スニョンの自然観察日記 
一部の写真家、巣周辺の枝打ちなど、「鳥類虐待」撮影を当然視 
「巣売り」、ビニールハウスのセットによる演出など商業化傾向 
動物保護法の対象はペットのみ、保護種以外の野生動物は無防備
水晶玉の上に蜂蜜と混ぜた幼虫を置き、監禁されたメジロを利用して不自然な演出がなされている=加平、読者による情報提供//ハンギョレ新聞社

 鳥の繁殖の季節。新たな命が誕生するという生命の驚異を写真に収めようとする写真家たちもあちこちを駆け回っている。しかし一部の無分別な写真家たちは「良い」写真のためなら手段と方法を選ばない。その結果、幼い鳥の死につながる鳥類虐待が平然と繰り広げられている。

 繁殖期と越冬期には、様々なかたちで鳥類を虐待する写真撮影が公然と行われるが、これに対する制裁は全くない。そのうえ、このような虐待撮影が商業的に盛んに行われている。鳥類虐待が新たな撮影技法にまで変質し、一般へと拡散している。

ある写真家が剪定ばさみを手にエナガの巣へと近づこうとしている=ソウル、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社
低木の茂みに隠れていたエナガの巣が徐々に姿を現す=ソウル、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社
撮影の邪魔になる周囲の全ての枝を残さず切り落とす=ソウル、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社

 デジタルカメラが大衆化したことで、写真撮影人口は急激に増えた。風景と花の写真を撮っていた一部の写真家は、鳥の写真に目を向けた。バードウォッチング愛好者も増えた。しかし、鳥類の生態に関する予備知識や訓練なしにカメラを向けると、鳥に被害を与えうる。初めてカメラに接する初心者たちが、何も知らずに鳥類虐待撮影から入り、それをそのまま踏襲してしまうのも問題だ。

周囲の枝を全て切り落とすと、外からは見えなかったエナガの巣が丸見えになった。巣が外から丸見えになった写真を見たら、写真の内容に感嘆する前に非倫理的な撮影ではないか疑わなければならない=ソウル、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社

 鳥類虐待写真は今や商業化している。野生で生きていくべき様々な鳥を捕まえてビニールハウスの中で育て、演出写真を撮影するということが、かなり以前から全国的に繰り広げられている。最近になって鳥類虐待写真が特に蔓延しているのも、それと無関係ではない。野鳥を捕まえてこのようなハウスに供給する人たちが別途存在するくらいだ。

一部の写真家がウグイスの巣を隠していた木の枝を払い、生まれたばかりのヒナが丸見えに(左)。5羽いたヒナは2羽に減り、あらわになった巣で雨が避けられずヒナがびしょ濡れに=京畿道漣川郡全谷邑、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社
枝に蜜を塗ってメジロを誘引したビニールハウスの様子。鳥類虐待によく利用される鳥だ=加平、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社
木に住むメジロは、苔の生えている場所は好まない。苔が生えている場所のメジロの写真はビニールハウスで撮影した虐待写真と考えればよい。水を飲むメジロのそばにイカルもいるのが不自然だ=加平、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社
繁殖地に戻らなければならなかった冬鳥であるアトリが夏に一羽残って空を眺めている。ビニールハウスにて=加平、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社

 餌を与えず飢えさせて撮影者が望む場所まで餌で誘引したり、水を与えず、ようやく一滴の水を飲ませてもらう様子など、様々な形の演出写真には鳥たちの苦しみと虐待の痕跡が隠れている。鳥の生態を少しでも知っている人は、鳥と全く関係のない周辺環境を見れば、それが虐待の結果だということに簡単に気づく。(2に続く)

ビニールハウスに閉じ込められているルリビタキ。本来、今ごろは外でつがいを作り、繁殖する時期だ=加平、写真家撮影・情報提供//ハンギョレ新聞社

文・写真/ユン・スニョン|韓国野生鳥類保護協会理事長、ハンギョレ環境生態ウェブジン「水風森」執筆者

撮影ディレクター/イ・ギョンヒ、キム・ウンソン (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/wild_animal/1047654.html韓国語原文入力:2022-06-20 11:12
訳D.K

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