2020年に西海(ソヘ)で行方不明になり、その後、北朝鮮側によって銃殺された公務員、イ・デジュンさんの遺族が、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領とソ・フン前国家安保室長を告訴するとの考えを明らかにした。
イさんの実兄のイ・レジンさんら遺族は17日午前、ソウル瑞草区(ソチョグ)のソウル地方弁護士会で記者会見を行い、このような内容の今後の計画を明らかにした。前日に国防部と海洋警察庁が「イさんの自主的な越北(北朝鮮に渡ること)を認めるに足る証拠はない」として、2年前の捜査結果を覆したことを受けてのもの。
遺族側は、文前大統領に対しては但し書きをつけた告訴方針を明らかにした。法律代理人のキム・ギユン弁護士は「文前大統領が公務員銃撃事件の報告を受けてから3時間が経ってから(被害者が)死亡しており、その間に文前大統領が無対応だったなら職務遺棄罪で、(事態を)放置するよう指示したなら職権乱用罪で告発する予定」だと語った。昨年11月、イさんの遺族は当時の大統領府や海洋警察庁などを相手取って起こした情報公開請求訴訟で勝訴し、国家安保室が海洋警察や国防部などから受けた報告の内容を一部閲覧できるようになった。しかし、関連内容の大半は、閲覧の制限される大統領指定記録物として移管されている。封印を解くには、国会在籍議員の3分の2以上の同意や管轄の高等裁判所長による令状発給が必要になる。遺族は、大統領記録物の閲覧に必要な高等裁判所長による令状発給を引き出すために、弁護士と法律の検討に入っている。
ソ・フン前国家安保室長については、資料公開などとは関係なしに、公務執行妨害罪の疑いで告訴する計画だ。遺族側は「2020年9月に大統領府国家安保室が国防部などの国家機関に通達した指針によって、国防部と海洋警察の正当な公務執行が妨害され越北と発表されたのかを把握するために、ソ前室長を告訴する予定」だと語った。