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韓国、読解力が年々低下…親の地位の差に伴う学習格差はさらに拡大

登録:2022-01-03 00:40 修正:2022-01-03 08:04
2009年と2018年の学習到達度評価(PISA)上位国比較
ソウル市教育庁が主管する全国連合学力評価が行われた3月23日、ソウル市内のある高校で、生徒が既出問題などを見ている/聯合ニュース

 韓国は保護者の社会・経済的地位の違いに伴う子どもの学習格差が大きく、最近10年間でさらに広がったという研究結果が発表された。また、韓国の生徒たちは、読解力分野で他の上位国に比べ下落幅が大きかった。

 韓国教育課程評価院は先月31日、「OECD(経済協力開発機構)国際学習到達度評価の研究」と題する報告書を公開した。この報告書では、2018年に実施された国際学習到達度評価(PISA)における上位国の結果を2009年と比較分析している。韓国、シンガポール(常に高い到達度を示すアジアの国)、エストニア(到達度が急上昇)、日本(上位到達水準を示す隣接国)、フィンランド(韓国に類似する下落を示す国)が比較対象となっている。OECDが非加盟国も含めて3年ごとに実施するPISAでは、韓国は教育部と評価院が15歳(中3)の成績を点検する。

 韓国の生徒は読解、数学、理科の3つの領域の平均点が、2009年に比べ軒並み下がっている。そして社会経済文化的背景(ESCS)による格差が大きいことが確認された。韓国は読解領域の下落幅が比較対象国の中で最も大きく、下位10%集団の下落幅(-31.67点)が上位10%集団(-26.07点)より大きかった。数学領域では、上位10%と下位10%の生徒には111点の差があり、これは比較対象国中シンガポールに次ぐものだった。

 社会経済文化的背景の中でも、保護者の職業地位(ISEI、国際社会経済指数)の違いによる到達度の格差が目立った。韓国は読解領域で、保護者の職業地位下位10%集団の到達度の下落幅(-26.73点)が比較対象国の中で最も大きかった。保護者の職業地位上位10%の生徒の読解平均点は559.44点で、2009年に比べて16.18点下落していた。

 家庭の保有資産による分類では、韓国は数学と理科の領域でシンガポールとともに他国に比べて到達度格差が比較的大きかった。2018年の(家庭の保有資産の)下位10%において数学の平均点は463.75点である一方、上位10%では562.90点で、100点近くの差があった。理科も下位10%は463.76点、上位10%は544.78点で、81.02点の差があった。相対的に差の小さいエストニアは、理科は下位10%が494.20点、上位10%が547.25点で、差は53.05点だった。

 各学習領域の全般的な成績を分析すると、韓国の生徒は読解力の到達度が低く、特に複合的なテキストの読み取りが苦手だった。必要な情報を見つけ出すために文章の意味をそのまま理解する能力である「文字通りの意味を読み取る」力を問う問題の正解率(46.5%)は9年間で15ポイント落ち、下落幅が5カ国中最も大きかった。質問項目別では、複数の著者が書いた複合的類型の資料を読んで評価し意見を述べることを求める問い、複数の資料を検討して実生活の問題に適用することを求める問いにおいて正解率が低かった。

 韓国教育課程評価院は「韓国は、2006年のPISAで1位を記録してからは、回を重ねるごとに平均点が下がっている」とし「読む目的が明らかな状況における課題中心の読書と問題解決的な読書が弱い。この点を補完するプログラムが必要だ」と説明した。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/1025658.html韓国語原文入力:2022-01-02 16:26
訳D.K

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