韓国の与党「国民の力」は、6月1日の地方選挙を翌日に控えた31日、特別監察官任命の再考とキム・ゴンヒ女史の大統領執務室写真をめぐる論争の鎮火に乗り出した。
大統領の家族と側近の不正を監察する特別監察官設置に大統領室が否定的だという気流が明らかになった翌日、国民の力は「根拠のない話」だと一蹴した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領候補時代に最側近だった同党のチャン・ジェウォン議員は同日、フェイスブックに「尹大統領は大統領の親戚と首席秘書官以上の高官に対する監察はどの政権より厳しく行われるべきだと考える方」だとしたうえで、「尹大統領が特別監察官を任命しない」という報道を一蹴した。チャン議員はまた、「大統領の参謀は大統領の意中と意思を正確に把握しなければならない」とし、このような報道の原因が「大統領室の参謀の過ち」にあると主張した。クォン・ソンドン院内代表も同日午前、院内対策会議で、「(特別監察官の廃止は)真っ赤な嘘だ。尹錫悦政権は法の枠組みの中で常識的に運営される」と述べた。
また、大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が28日、大統領執務室で撮った写真を自身のファンクラブを通じて公開したことをめぐり、与党内部でも懸念の声があがった、ヤン・グムヒ首席報道担当は同日、「仏教放送」(BBS)のラジオ番組のインタビューで、キム女史が執務室の写真を公開したことについて「深く考えて国民の目線に合わせる努力が必要だ」と述べた。保安施設である大統領執務室で撮った写真がソーシャルメディアで流布されるのは常識に反するという見解を示したのだ。
国民の力がこのように急いで鎮火に乗り出したのは、特別監察官任命公約の破棄をめぐる議論と「大統領配偶者リスク」が、地方選挙に悪影響を及ぼしかねないという懸念のためだ。同党のある議員は本紙との電話インタビューで、「特別監察官制度の廃止が決まったわけでもなく、キム女史の写真もある意味権威の象徴だった大統領室を国民に自然に公開する活動の一環とみることができるため、世論に及ぼす打撃は大きくないと思う」としながらも、「ただし、選挙を控えた時期には思いもよらないことが起きるかもしれないため、こういうことはできるだけ浮き彫りにしてはならない」と述べた。