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[コラム]「大統領の配偶者」の資格と検証問題

登録:2021-06-30 20:39 修正:2021-07-01 07:44
イラスト:Jaewoogy.com//ハンギョレ新聞社

 令夫人を「大統領夫人」の呼称と誤解しがちだが、辞書的な意味は「他人の妻を敬った呼び方」だ。他人の配偶者なら誰にでも使える。

 辞書上の意味を離れて、近年では令夫人は大統領の女性配偶者という意味でほとんど固まったようだ。「令夫人○○○女史は今日…」と言うように、大統領の配偶者の活動状況がしばしば報道されてきたためだろう。大統領の配偶者は実際、首脳会談など各種の大統領の対外行事に一緒に参加するケースが多い。各国の首脳の配偶者どうしで人権や気候危機のようなイシューに対して意見を交わしたりもする。事実上、外交使節の役割をするため、配偶者の歴訪経費なども国庫から支援する。

 大統領府の職制にも大統領の配偶者の補佐機関が入っている。第2付属秘書官室だ。第2付属室が熱い話題となったのは、逆説的にも配偶者のいない朴槿恵(パク・クネ)大統領の時期だ。第2付属室がなくなるという当初の予想を裏切って、ベールの陰で活動がなされた。後にはチェ・スンシル(改名後チェ・ソウォン)氏の随行を担当していた事実が知らされた。ホワイトハウスにも「大統領配偶者」秘書室がある。

 20世紀後半以来、世界的に悪名を馳せた大統領の配偶者としてフィリピンのイメルダ・マルコスが挙げられる。ミス・コンテスト出身の彼女は、21年間にわたって政権を握った夫のフェルディナンド・マルコスと共に、官邸であるマラカニアン宮殿で超豪華な生活を享受した。1986年の民衆革命で彼らがハワイに亡命した後、マラカニアン宮殿からはイメルダのブランド靴3000足が発見された。1989年に夫が亡くなり帰国したイメルダは、100億ドルと推定される不正蓄財をベースに2010年に下院議員に当選するなど、政治的再起に成功する。最近公開されたドキュメンタリー映画『イメルダ・マルコス:愛の令夫人』(原題:『The Kingmaker』2019、邦題:『女王イメルダ ー政界の果てしない闇ー』)を見れば、イメルダは上院議員である息子のボンボンを大統領にする夢を見る。しばしば孤児院などを訪れ、手の切れそうな紙幣をばらまく。

 大統領選挙への出馬を宣言したユン・ソクヨル前検察総長と配偶者の道徳性の検証が争点に浮上している。夫人のキム・ゴンヒ氏は「株価捏造と持ち会社(COVANA CONTENTS)の見返り協賛」疑惑で検察の捜査を受けている。結婚の前後にユン前総長が夫人と義母の関わった訴訟に影響力を行使したという主張も出ている。以前にはY元検事が介入したという疑惑もふくらんだ。ユン前総長は「制限なしで検証を受ける」と言っただけに、徹底した捜査と検証がなされなければならない。

ソン・ウォンジェ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1001557.html韓国語原文入力:2021-06-30 19:11
訳J.S

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