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欧州では「テレワーク申請権」を法制化…在宅費用、会社が負担する場合も

登録:2022-05-25 06:14 修正:2022-05-28 09:33
[ポストコロナ「ニューノーマル」テレワーク]
ピクサーベイより//ハンギョレ新聞社
ポストコロナ「ニューノーマル」テレワーク//ハンギョレ新聞社

 コロナ禍で在宅勤務を含むテレワークの経験が増えたことで、韓国でも労働者が勤務場所を選べるという認識が生まれている。韓国よりも先にテレワークが活性化された欧州では「テレワーク申請権」の保障範囲と水準をめぐり、社会的合意をもとに立法化が進んでいる。

フランス、労働者に「連結遮断権」を保障

 フランスは2012年から労働法典に「テレワーク」関連条項を反映した。民間部門の労働者の場合、団体協約または使用者が作成した公式文書の範囲内でテレワークができる。文書にはテレワークの施行条件をはじめ、勤労時間の統制や作業量の調整方法、管理者が労働者に通常連絡できる時間帯を書くよう定められている。労働者に会社からの「連結遮断権」を保障し、過労を防止するとともに、私生活を保護するためだ。

 スペインはコロナ禍で在宅勤務が急激に増えたことを受け、2020年に緊急立法の形で「テレワーク法」を制定した。フランス同様、労使合意を通じてテレワーク制度を導入できるようにしている。合意ではテレワークに必要な手段や装備、道具のリスト、これにともなう支出項目、会社負担金額と支給時期及び方法を明示するよう定めている。テレワークにかかる費用に関する紛争を予防するための措置だ。会社データの保護と情報セキュリティ指針も事前合意対象に含まれている。

 労働者の「テレワーク申請権」と会社の「受入義務」のレベルは国ごとに異なる。2020年、ドイツ政府は6カ月以上勤続した労働者を対象に、1年に24日以上テレワークを申請する権利を保障し、「経営上重大な理由」がある場合のみ使用者がそれを拒否できる内容の「モバイルワーク」立法を進めた。経営界の反発で法案が修正されたが、労働者がテレワークへの転換を申請した場合、使用者に協議に応じることを義務付けている。労使間合意に至らなければ、使用者がテレワークを拒否する理由を労働者に通知するようしている。フランスとスペインでは正当な理由がある場合のみ、使用者は労働者のテレワーク申請を断ることができ、その立証責任は使用者にある。

国内の改正案は在宅勤務の「定義」を盛り込んだレベル

 韓国でも2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大で、在宅勤務に関する労働関係法改正案が数件提出された。ただし在宅勤務の「定義」と関連した内容がほとんどであり、労使間権利と義務が総合的に盛り込まれていない。国会でも法案に対する議論が活発に行われていない状態だ。高麗大学法学研究院のイ・ウンジュ専任研究員は「フランスとスペインのように労働者にテレワーク申請権と共に使用者の拒否権も認めるならば、国内でもテレワークの法制化が可能であり、また必要だ」と話した。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1044247.html韓国語原文入力:022-05-2504:59
訳H.J

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